研究紀要第134号さまざまな調査を基にして「個に応じた学習指導」を実践するための基礎研究- 020/069page
2 調査2について
調査1より,T・Tや習熟度別学習指導等による少人数学習指導を導入したのにもかかわらず,「r人一人の児童生徒に対する指導が十分に行き届いていない」などの課題があげられた。そこで調査2では,これらの原因を調査するために,教師と児童生徒を対象に「個に応じた指導の工夫」,「評価の仕方」,「児童生徒理解」,「学習方法・スタイル」の4観点から学習に関する意識の違いを教師並びに児童生徒を対象に調査し,その傾向を調べた。
調査年月日 : 平成14年11月19日〜12月3日 調査対象 : カリキュラム研究チームのA班の研究協力員の所属校の教師と児童生徒 ・小学校3校: 教師28名,児童290名(4年〜6年) ・中学校3校: 教師16名,生徒366名(1年〜3年) (1) T・Tにおける変容(抜粋)
T・Tを行うことにより児童生徒がどのように変容したかについて,児童生徒と教師の意識の違いを調べた。
○ 学習内容の理解
小学校で約6割,中学校で約5割の児童生徒が「T・Tにより学習内容が理解できるようになった」と回答している。一方,小中学校ともすべての教師が,「T・Tにより児童生徒が学習内容が理解できるようになった」と回答している。○ 成績の伸び
小学校で約4割,中学校で約2割の児童生徒が「T・Tにより学習成績が伸びてきた」と回答している。一方,小中学校とも約7割の教師が「T・Tにより児童生徒の学習成績が伸びてきた」と回答している。
○ つまずきの解消
小中学校とも約5割の児童生徒が「T・Tによりつまずきが解消されてきている」と回答している。
一方,小学校では教師の約8割,中学校ではすべての教師が「T・Tにより児童生徒のつまずきが解消できた」と回答している。○ 教師に対する依存
小学校で約3割,中学校で約2割の児童生徒が「T・Tを行うことにより教師に頼るようになった」と回答している。一方,小学校のすべての教師,中学校では約8割の教師が,「T・Tを行うことにより必ずしも教師に頼るようになったとはいえない」又は,「変わらない」と回答している。