研究紀要第134号さまざまな調査を基にして「個に応じた学習指導」を実践するための基礎研究- 021/069page

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(2) 習熟度別学習指導における変容(抜粋)

 習熟度別学習指導を行うことにより,児童生徒がどのように変容してきたかについて,児童生徒と教師の意識の違いを調べた。

習熟度別学習指導における小学校児童の変容  習熟度別学習指導における中学校生徒の変容

○ 学習内容の理解
 小学校で約7割,中学校で約5割の児童生徒が「習熟度別学習指導により学習内容が理解できた」と回答している。一方,小学校で約9割,中学校ですべての教師が「児童生徒は学習内容がよくわかるようになってきた」と回答している。

○ 成績の伸び
 小学校で約4割,中学生で約2割の児童生徒が「習熟度別指導により成績が伸びた」と回答している。一方小中学校ともすべての教師が「習熟度別学習指導により成績が伸びてきた」と回答している。

○ グループ編成による学習意欲
 小中学校とも約5割の児童生徒が「習熟度別学習指導のグループ編成により学習意欲がわいてきた」と回答している。一方,小学校で約7割,中学校のすべての教師が「習熟度別のグループ編成により学習意欲が出てきた」と回答している。

○ グループ編成の満足度
 小学校の約7割,中学校の約5割の児童生徒が「習熟度別学習指導のグループ編成に満足している」と回答している。一方,小学校は約9割,中学校では約3割の教師が「習熟度別学習指導のグループ編成に満足している」と回答している。
なお,その他の項目の結果については,省略する。

 

V 今後の課題

 今年度の調査1や調査2の結果を分析して,今後解明していくべき課題を次のように絞り込んだ。

(1) 学習成績だけに目を向けた指導援助だけでなく,学ぼうとする意欲を支える指導援助の在り方について
(2) 少人数学習指導による児童生徒の変容の客観的な把握と,児童生徒や保護者への説明の仕方について
(3) T・Tにおける,T1とT2の連携の在り方や評価の仕方について
(4) 習熟度別学習指導を行うためのグループ編成の仕方や児童生徒並びに保護者に対する説明の仕方について
(5) 教員の指導力向上を図るための校内研修の在り方について

 本年度の調査結果を生かしながら,今後,これらの課題解決に向けた具体的な実践研究を行う必要があると考えられる。

〈参考・引用文献〉
1) うつくしま教育改革推進プログラム (福島県教育委員会)
2) ティーム・ティーチング入門 加藤幸次著 (国土社 平成8年)
3) 小学校少人数指導実施の手引き 児島邦宏著 (明治図書 平成14年)
3) 中学校少人数指導実施の手引き 児島邦宏著 (明治図書 平成14年)
4) 子どもを伸ばす少人数指導の工夫と実践 加藤幸次編 (教育開発研究所 平成14年)


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