長期研究員の研究 研究紀要第138号読解力の向上を図るための速読・多読指導の工夫-055/069page
〈ポイント〉
◎ 前回より少し速く読む!
◎ 「いつ,どこで,誰が,何をした」など意識しながら読む!
◎ 一度読んだら,前には戻らない!
◎ 慣れるまで,指や鉛筆で単語を指しながら読む!(2) 速読の実践
速読練習は,以下のような手順で行い,WPMの変容を見ていった。
@ シートは裏面にしておき,「はじめ!」の合図で,文章を読み始める。(教師は,黒板に時間を表示する。) A 読み終わったら,シートの余白に要した時間を記入し,シートを半分におり,英文を隠して間題に答える。 B 解答が終わったら,シートを戻し,英文を読み返しながら自己採点する。 C 全員が終了したら,配付された英文の日本語訳と設間の答えを見ながら採点し,結果を集計表に記入する。 前半終了時に,集計表を基にWPMの変容を自己分析し,後半への課題を持たせた。さらに,カードを用いて,生徒の疑問などに教師が助言することにより,個に応じて具体的な支援を行った。
〈生徒の疑問と教師の助言〉 〈WPM集計表〉
V 研究のまとめ
1 成果
(1) 活動に興味・関心を示し,意欲的に取り組んだ結果,「読むこと」への抵抗が減少し,「読むことの楽しさ」を感じる生徒が増えた。
(2) WPMの結果から,読む速度が高まり,理解度を確認する問題の正答率も向上した。このことから,英文を読んですばやく概要を読みとることができるようになった。
(3) 継続的な取り組みを通して,読む量を確実に増やすことができた。
2 今後の課題
(1) 教材文は,興味・関心を持ち主体的に取り組めるようにその内容や質を考慮して作成する必要がある。また,英検3級レベルの発展的な教材作成及び教材のオリジナル化に努めていきたい。
(2) WPMの極端な変動をなくすために,設問の数と難易を適切に設定する必要がある。また,理解度を確認する問題をQ&A形式に変えて実施するなど深まりのある読解ができるような活用を工夫していきたい。
(3) コンピュータを用いて自学自習できるよう本研究で用いた教材のソフト化を進めていきたい。
〈参考・引用文献〉
1) 英語授業改善のための処方箋 金谷 憲著(大修館書店 2002)
2) 英文読解のプロセスと指導 津田塾大学言語文化研究所読解研究グループ編(大修館書店 2002)
3) STEP BULLETIN vo1.14 2002(日本英語検定協会)