長期研究員の研究 研究紀要第139号家庭や地域社会との連携を図った特別活動の実践-056/069page
家庭や地域社会との連携を図った特別活動の実践
−学校を中核にした地域の教育ネットワークの活用を通して−長期研究員 赤 津 雅 彦
T 研究の趣旨
生徒の今日的な課題として,生活体験の不足,人間関係や連帯感の希薄化,集団や社会の一員としての自覚や責任感の低下などが指摘されており,特別活動においても心の教育の充実を目指し,自然体験や社会体験等の充実を図ることが求められている。
そこで,教職員全体の共通理解と適切な指導のもと,家庭や地域社会との連携,協力を図りながら,「協働」を通して学校行事に取り組んでいくことにより,生徒の学校や地域社会への所属感,連帯感が養われ,よりよい集団や社会を協力して築いていくといった社会的資質や態度が育成されるであろうと考え,本主題を設定し,実践に取り組んだ。
U 研究の概要(協力校:いわき市立錦中学校)
1 校内外の組織の在り方
家庭や地域社会との連携にあたっては,校内外の組織を意図的に編成し,生徒の主体的な活動が促されるように条件整備していくことが大切と考える。
校内組織は,特別活動の時間や総合的な学習の時間,他教科の学習活動等において,地域の施設や人材を活用するねらい,活動内容,安全対策,連絡調整や手続きの方法など,教職員の共通理解が十分に図られるように編成を工夫した。また,校区にある機関や校区住民の協力を得て,校区組織を編成した。学習活動の展開に必要となる施設や人材を選定する場合や連絡調整を行う場合などに活用できるようにし,家庭や地域との連携を深めることができるようにした。
【地引網体験活動】(第1学年のみ)
施設・
人材等地引網漁協同組合
PTA役員,保護者実 践
内 容○海浜清掃 ○地引き網体験
○グループ炊飯2 家庭や地域社会との連携を図った行事の実践
(1) 地引き網体験活動
1日行事として,地域で漁業に従事している方々や保護者の協力のもと,町の自然環境を活用した地引き網体験活動を実施した。漁協組合長さんからの説明の後,1年生全員でひとつの網を引き,ともに働く体験をした。
また,総合的な学習の時間との関連として,海浜清掃や生息魚類の実態調査を行い,地区の海洋環境についての理解を深めることができた。(2) アルミ缶回収活動
【アルミ缶回収活動】
施設・人材等 地域住民 実践内容 ○広報活動 ○回収活動 @ 広報活動
生徒会で作成したアルミ缶回収についての文書を,1年生が地域の家に配布して回り,趣旨を説明し,協力を依頼した。後日,2,3生が回収活動を実施した。
生徒が地域の家庭を訪問し,行事への協力を依頼することにより,地域住民と交流することができた。回覧板などでの一方向の文書依頼とは異なった,お互いの顔が見える「温かみのある協力体制」を築くことができた。
A 回収活動
「福祉施設への車椅子寄贈」という共通の目的意識のもと,生徒よ意欲的に回収活動に収り組んだ。
回収活動は,現在も継続されており,地域住民から臨時に回収依頼の連