長期研究員の研究 研究紀要第139号家庭や地域社会との連携を図った特別活動の実践-057/069page

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絡がくることもある。
 行事が地域に浸透し,協力意識が高まりつつあるといえる。

車椅子

(3) ボランティア活動校区組織や保護者の協力のもと,ボランティアを受け入れることのできる施設を選定し,連絡を取り,一覧表にした。施設ごとに教師を分担し,連絡調整,実施計画作成のうえ,全校生によるボランティア活動を実施した。保護者にも参加を呼びかけ,活動日に一緒に活動していただくことで,教育活動への理解を深めることができた。

【ボランティア活動】
施設・
人材等
幼稚園,保育所,病院,
介護施設等,保護者
実 践
内 容
○教育ボランティア
○福祉ボランティア
ボランティア活動実施計画
実施場所(施設名・住所・TEL) 担当教師
活動内容
老人との交流活動、介護との補助体験活動
ねらい
福祉の方や老人の方との交流を通して、福祉についての考えを深め、生徒の心にボランティア精神の育成を図る
活動概要と目標
・施設で行われている活動について知る
・介護の補助体験活動を行う。
事故の防止対策
・交通事故防止対策
・施設での事故防止対策
準備物
・服装(ジャージ)、筆記用具
事前指導内容
・事前打ち合わせによる活動内容の検討
・交通安全指導
・マナー指導(服装、言葉遣いなど)
・老人介護についての調べ学習
保護者役割
・引率、施設での交流活動に関する補助
参加生徒

 

@ 教育ボランティア
 幼稚園,保育所等を訪問し,保育支援活動を行った。生徒は,一緒に遊具づくりやゲームを行い,幼児や保育士との交流を深め,その喜ぶ姿から充実感を得ることができた。

教育ボランティア

A 福祉ボランティア
 病院,介護施設等を訪問し,施設の清掃や支援活動を行った。生徒は,介護活動や会話を通して高齢者や障害のある人々と触れ合い,奉仕の精神を学ぶことができた。

福祉ボランティア

教育ボランティア
福祉ボランティア

○ 0歳児を見て,とてもかわいかった。だっこするだけでも結構大変なんだとわかった。

○ 不安や心配が多かったけど,先生方がいろいろと教えてくれて勉強になったし,楽しかった。

○ 小さい子同士の仲間はずれがほんの少しあった。もし,次にこのような機会があったら,細かいことにも気を配ろうと思う。

○ 小さい子がたくさん集まってくれたのがうれしかった。今度はもっと自分から声をかけていきたい。

○ 手を引いて散歩したり,車椅子をおしたりして,「ありがとう」って言われた時,本当にうれしかった。
 また,やりたいと思う。

○ お年寄りと話すことは意外に難しく,お年寄りの苦労などを少しでも分かってあげられたらなと思った。

○ 私は福祉の仕事がしたいので,今回のボランティアで学んだことを,今後の活動に役立ててみたいです。

○ お年寄りと接する事はすごく大変なことだし,そこで働いている人はもっと大変だと思いました。

 

V 研究のまとめ

1 成果

○ 校内組織と校区組織を有機的に関連させることにより,全教職員の共通理解のもと,連絡調整等がスムーズに進められ,地域社会の施設や人材を積極的に活用することができた。また,この組織は,総合的な学習の時間の活動内容を充実させる上でも有効であった。

○ ボランティア活動は,学区内の施設のみで実施することが難しい状況にあったため,計画の段階で,隣接する中学校と情報交換をした。学区外の施設との協力体制を築くことができ,生徒の思いや願いを生かした活動を展開することができた。

○ 3つの行事の実践から,生徒は地域の人々との交流や人間的な触れ合いを深め,協働や思いやり,集団行動の大切さ,地域社会の一員としての在り方や責任感などを学ぶことができた。

2 今後の課題

○ 学校行事で行うボランティア活動は,指導時数の関係で単発的にならざるを得ない。受け入れ側は継続したボランティアを望んでいるので,学校が中心となり,地域社会にボランティア活動が根付いていくような支援体制を構築していくことが望まれる。

○ 生徒のいない家庭は,学校の教育活動を知らないことが多い。現在,地区の回覧板を使って「学校通信」や「PTA通信」などを読んでもらっているが,今後は学校のホームページの開設も課題となる。プライバシーへの配慮や定期的な更新などのメンテナンスの面も含め,管理責任者を育成していかなければならない。

○ 学校評議員やPTAなどを通して寄せられる質問,意見,要望などを教育活動にどのように活用していくか,また,ロータリークラブが地域社会での教育を支援するために昨年発足させた「青少年育成委員会」との連携をどのように図っていくかなども今後の課題である。

〈参考・引用文献〉
1) 中学校学習指導要領解説−特別活動編− (文部省 平成11年)
2) 高めたい地域・家庭と連携する力 葉養正明編集 (教育開発研究所)
3) 特色ある教育活動を展開するための地域の施設・人材活用法 九州個性化教育研究会編著(黎明書房)


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