長期研究員の研究 研究紀要第141号運動の有効性を実感する授業-061/069page
キングの後,15秒間の脈拍測定を実施。さらに目標値との照合を行い,ぺースを修正して2度目の10分間ウォーキングを実施した。生徒は,想像していたよりも速いぺースが必要なことに気付いた。
(3) 体育の授業で継続的に行うストレングス
実施する内容として右の4種類のアイソメトリックトレーニング※1を挙げ,静止7秒,セット数等,実施上の留意点を解説した。
※1 等尺性筋収縮,筋肉の長さを変えないで力を発揮する筋収縮のタイプ(4) 週間運動プログラムの作成
それまで学習した内容をもとに,自分の生活行動を利用して継続できそうな1週間分の運動プログラムを各自で作成した。5 授業のまとめ
(1) イメージマップヘの追加記入
〈イメージマップヘの追加記入例,破線囲みが追加された部分〉
単元で学習した語句とダイエットに対する肯定的なイメージを感じさせる語句が多く追加された。
イメージマップに追加された語句
生徒数47 追加語句総数235語句 出現数 対象人数比有酸棄運動 21 45%腹筋 18
38%基礎代謝 17
36%体脂肪 16 34%ウォーキング 16 34%健康になる 14 30%背筋 13 28%筋力 13 28%続けられそう 13 28%体脂肪減量 11 23%(2) 授業後のアンケート調査から
47人中46人が「理解できた」,「よく理解できた」と答えている。
(1名は「どちらともいえない」)また,右のグラフのように運動に取り組む意欲を喚起できた。(3) 単元を通しての感想
○ 今も,これからも自分に関わってくることなので,学んだ知識をいかしてこれからも運動をしていきたいと思った。
○ 楽しく運動の必要性を知ることができたのでよかった。プリントをみながら毎日やるようにしたいと思った。
○ 効果的な運動の方法がよくわかったのでこれから積極的に実践しようと思った。
V 研究のまとめ
1 成果
(1) 知識として理解したことを実技で深めることで運動の有効性を実感させることができた。
(2) 誤った低体重志向から体脂肪をコントロールすることに関心が移り,ダイエットに対するイメージが健康的なものに変わった。
(3) 個人の運動経験や生活行動に応じた運動プログラムを作成したことは,体育の授業に取り組む意欲を高めたと同時に,授業以外でも運動に取り組もうとする意欲を喚起した。2 今後の課題
(1) 保健と体育の関連を工夫したが,単元の前半に保健,後半に体育という展開に留まった。保健と体育を交互に実施するなど,両者の関連をさらに深めた指導計画を工夫する必要がある。
(2) 高まった運動意欲を活かし,運動の習慣化を目指すための継続的な指導の在り方を工夫する必要がある。
(3) 体脂肪計等の測定機器の活用が簡単になれば,データの変容を利用しての継続的な指導ができ,運動の有効性をさらに実感させることができる。〈参考・引用文献〉
1) 21世紀の健康・体力づくり(新版) 青木高・殖田友子著(大修館書店)