長期研究員の研究 研究紀要第142号教育相談(2)-065/069page

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事例研究会1の進め方

事例研究会1<考察>B 事例研究会1〈考察〉
事例研究会後の振り返りで,参加教師の感想を聞き考察を行った。
○ 資料から多面的な理解を進めることができた。
また,資料と黒板図との関連が図られ,生徒の状況を無理なく確認できた。
○ 情報提供の機会を設けたことで,事例提供者の視点だけでなく学年教師の視点も取り込み,情報を共有して対応策を考えることができた。また,これまで発言のなかった教師が,情報提供から積極的に話し合いに参加していた。
○ 問題を黒板に図示することで,教師が生徒の全体状況を客観的に見つめることができた。その際,心理的な状況を考えたことが,共感的理解を深めながら対応策を考えることにつながった。
● 記録用紙を使用したことが板書事項を写す行動につながり,対応策を考える際の妨げになった。
● 自由に話し合って対応策を考えられたものの,話題が拡散して予定時間をオーバーした。

C 事例研究会2〈実践内容〉
このような結果を受け,話題の拡散を防ぎ時間短縮を図るため,個人で具体的な対応策を考えるなど変更を行い,第2回の事例研究会を実施した。

事例研究会2の進め方
(協議全体で60分)

1よりの工夫・改善点=            

○初めに担当が,事例研究会の目的,進め方,留意点について確認する。

○軽く体を動かす。

○事例提供者が,項目順に事例を簡潔に説明する。

○事例について説明を受け,事例提供者が質問に対する説明をする。
○提供できる情報がある場合には発表する。

次の順序で協議を進める。
 @対象の生徒の状況を確認する。
 A個人で具体的な対応策を考える。
 B対応策を順に出し合う。
 C可能性を検討し,優先順位をつける。


○司会が対応策について,確認を行う。

D 事例研究会2〈考察〉
○ 対応策を個人で考えてから話し合いをしたことで,予定した時問内に終了し,参加者全員が意見を出し合って活発な話し合いとなった。
● 図を用いての状況の確認や心理面の考察が不十分であっため,対応策を考えにくかった。状況の確認→対応策の段階を踏む重要性を再確認した。
最後に,事例研究会参加教師にまとめの意識調査を行った結果,以下のような感想・評価が得られた。

事例研究会を振り返って(教師感想)
○ 実際の場面で対応に生かすことができた。事例研究会で共通理解を図る中で連携が深まってきたように思う。
○ 他の考え方や受け止め方が分かり,自分の考え方に気付いて,考えに幅が出てきた。対応に広がりが出てきた。

事例研究会を振り返って

 

V 研究のまとめ

 事例研究会の進め方に工夫・改善を行い,比較的短時間の中で具体的な対応策を考えることができた。
以下に,学校における実効性のある事例研究会のポイントをまとめてみた。

○ 学年を基本とした集団で実施する。
○ 資料に小項目を設定し,事実のみを偏りなく記入する。
○ 参加者相互の情報提供を大切にし,問題を考える際の視点を共有していく。
○ 黒板を使用し,図を用いて生徒の状況を確実に整理する。その際,児童生徒の心理面の考察を大切にする。
○ 具体的な対応策を,個人で考え,それをもとに話し合いを進める。

 今後,学校全体との連携の方法,養護教諭を含めた取り組み,問題の客観化の形式,継続事例の進め方などについて,更に研究を深めたい。

〈参考・引用文献〉
1) 埼玉県立南教育センター研究報告書238号
2) 秋田県総合教育センター研究紀要第32集
3) SSTと心理教育 伊藤順一郎著(中央法規)


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