福島県教育センター所報ふくしま No.13(S48/1973.11) -006/026page
∴ α=3.0993
3)偶然変動の範囲
偶然変動の範囲にあるかどうかの判定基準として「|X-60|≧ 3.0993ならば,偶然変動の範囲にない」。を採用する。
したがって,棄却域wは{ χ||χ-60|≧3.0993}と定まる。>
4)仮説の棄却
標本点χ=56はwに属するので,仮説μ=60は棄却される。
以上から,仮説を棄却する論理は,離散的な場合でも,連続的な場合でもかわりないことが知られる。
そして,ここからの発展として考えられるのは,「第一種の過誤と第二種の過誤」であろう。
(3) 片側検定・両側検定の考え
1)検定力関数
第一種の過誤は,仮説H 0 ;μ=μ 0 )が正しいのに標本点Xが棄却域wに属するために起こるものでその確率はPr(X∈w|μ=μ 0 )で有意水準αに等しい。
これに対して第二種の過誤は,Rを標本空間(関心の結果空間)とすると,H 0 が正しくないのに標本点XがR−wに属するために起こるものでその確率はPr(X∈R-w|μ≠μ 0 )である。
β(μ , w)=Pr(X∈w|μ)はwをきめるとμの関数となるので,これをwに対する検定力関数という。
H 0 が有意水準αで棄却されたとき,μ≠μ 0 が受け入れられるが,それはμ≠μ 0 について,どのような場合が考えられるかを想定したものである。
この想定を対立仮説H 1 という。
H 1 ;μ=μ 1 とすると
Pr(X∈R−w|μ 1 )
=1−Pr(X∈R−w|μ 1 )
=1−β(μ , w)
なる関係がある。
ここでのβ(μ , w)はH 0 が正しくないときにH O を棄却する確率である。
したがって,β(μ ,w)が大きいほど,H 1 が正しいときの第二種の過誤を犯す確率は小さくなる。
検定には,この2種類の過誤は必ずつきまとうもので,一方を小さくすれば必ず他方が大きくなる。2)Neyman,Pearsonの考え方
2 )についての帰無仮説H 0; =μ= 0 を検定することを考える」。
この例を有意水準α=0.05,サンプルの大きさをnとして考えてみる。
ア.H 1 ;μ≠0の場合
したがって,検定力関数は
で与えられる。
(参考)
検定力関数は,次のようにも表現できる。
&beta(0 , w),&beta(0.1 , w),・・・・・・をI(χ)の表から求めて,検定関数のグラフをかくことができる。
イ.H 1 ;μ<0の場合