福島県教育センター所報ふくしま No.14(S49/1974.1) -013/022page

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  注:*印はN.P.E.Cにない語……→は予想される生徒のresponseを表わすinterval。

 

4. Classroom English活用上の留意点

classroom Englishの活用とは,授業の過程をすべ英語onlyで進めてゆく,いわゆる直接教授法(direct method)ではない。時に応じてtramslationも必要でろうし,語法の説明も行なわなければならない。母国語を適切に利用することが効率的であることはいうまでない。このような事実をふまえながら活用上の留意点をいくつか挙げてみたいと思う。

  1. 入門期あるいは学年当初から使うのが,もちろ最も理想的であろう。しかし,いろいろな事情で,学年中途から使う場合には,生徒に混乱や不安を起こさないような事前の配慮が必要であり,また1日も早くmoodに慣れさせるように努めるべきである。
    なお順応性・習慣性という点では,教師より生徒のがはるかに強いものである。
  2. 毎時継続的に使うべきである。ときどき思い出たように使うのではclassroom Englishとしての意味がないし,またnaturalな運用は望めない。
  3. 生徒の受容能力にあわせて,意図的,段階的に簡易な文から多岐なものへ,平易な内容から密度の濃いものにと,質的に量的に高めふやしてゆくべきである。
  4. 教科内容と密接な関連のもとに使うべきである。特に前々時,前時,本時の文型や語を優先的に多用して,その定着化をはかりたい。
  5. ことばには可能な限り. emotionを加え,getureを伴せたい。たとえば,smiling faceで“How restless you are!”といったら生徒は戸惑ってしまう。逆に“I'll give you five minutes more.”といいながら,時計を指さし,5本の指を広げて示せば,生徒は視覚と聴覚の両面から適確な判断をするであろう。
  6. classroom Englishはその性格上,hearingの要素がより多くなるのは,いたし方ないとしても,極力生徒の反応を求めたり,生徒からの発言を促すような配慮をして,教師からのone wayにならないように努めるべきである。
  7. 未習語(特にcontend word)であっても,必修語に含まれる語またはpopularな語については,時に応じて使っても止むを得ないと思う。しかし活用することが目的であって難語のrandom な濫用はあくまで避けなければならない。
  8. 同一内容の英文であっても画一的でなく,生徒個人,あるいは group に対して,その能力差を考慮の上,表現法を変えて使うべきである。そうすることによって,特定の生徒にかたよらず,より多くの生徒と(communication)が可能になってくると思う。

以上が活用上の留意点であるが,classroom Englishが常に合目的的に活用されるためには,時にみずからの授業を録音再生し,教師の日本語のうち,英語にかえた方がより活動的と思われるものがなかったかどうかを検討反省する機会も必要であろう。また生徒のspeechにmistakeがあった場合の心理的な配慮も,機に応じて必要であろうし,supportのことばや,間髪を入れずに投げ返す適当なreward, encouragementの語も怠りなく準備しておきたいものである。


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