福島県教育センター所報ふくしま No.27(S51/1976.8) -015/026page
る。
さらに,単に地理的な景観や現象面を表面上からだけ比較するのではなくて,表面化しないもの-人びとが生活を営む上での苦労や喜びなどまで掘り下げて深みのあるものにしていくことである。
3. 関連思考
人間と自然との密接な関連を考えさせる教材では自然条件が人々の生活にどのようにかかわりあっているか,その関連を考えさせて正確な事実認識を得させることである。児童が直接経験した素材を取りあげて指導することが不可能な場合には,視聴覚教材を活用して間接経験をあたえ,その経験を主にしながら,他の資料を加え人間生活と自然との関連を考えさせるようにする。これによって,自然環境に対応する人間生活という関係が思考できるし,そこに含まれる意味関連をつかむことができる。
以上のことから, 1. 資料の指導計画への位置づけ 2. 比較思考, 3. 関連思考を授業の中で追求することにより,次のような仮説にせまりたい。
(2) 仮 説
指導過程の各段階において,ねらいに即応した資料を位値づけて,比較・関連の思考操作をすれぱ,社会的思考力か高まるだろう。
3. 計 画
(1)方法 一群法による
(2)対象 4年1組 31名(男16,女15)
(3)組織 個人研究 必要に応じて校内社会科研究部の協カも得られる。
(4)日程
- 第1期 事前研究の段階 (6月〜8月)
ア 研究計画の樹立 6月〜7月 イ 実態調査 6月〜7月 ウ 研究主題の決定 6月〜7月 エ 文献研究 7月〜8月 オ 仮説の設定 7月〜8月 - 第2期 検証の段階 (9月〜11月)
ア 教材研究と指導計画の作成 9月 イ 事前テストの実施 9月上旬 ウ 検証授業 9月〜10月 工 事後テストの実施 10月下旬 - 第3期 整理の段階 (11月〜2月)
ア データ処理 11月 イ 結果の分析 11月 ウ 研究のまとめと反省 12月〜1月 工 研究報告書の作成 1月 オ 発表 2月 4. 概要と考察
(1) 研究の経過
1. 指導過程の段階
指導過程を,つぎの5段階におさえ,これを指導の基本型とした。
2. 社会的思考力について
学習指導要領の目標をみると,思考力について,「社会生活について理解するための基礎的資料を活用する能力や社会事象を観察したり,その意味について考える能力を伸ばし,正しい社会的判断カを養う」とある。
社会事象,事実の認識は資料活用能力によってとらえられるが,事実,事象をとらえるだけでは正しい社会的判断はできない。それらがどんな社会的意味をもつ事実,事象であるのかさぐらなければならない。それを可能にするものが思考力である。
「国内で特色ある生活が営まれている地域」の取り扱いにおいても,資料によって気候条件や土地条件が違うことを理解させ,くらしや仕事に及ぼす影響やそこにみられるさまざまなくふうについて,つねに自分の郷土を頭におきながら,地域相互の比較をさせて思考の場をあたえ思考を高めていきたい。
3. 比較の方法について
次の図(a)のように温暖多雨と寒冷積雪の二つの典型的地域を相互に比較する方法と(b)のように,つねに自分の地域との比較を第一義とする方法と,(c)のように三者の相互比較を行なう方法とがある。
国内の特色ある地域の取扱いにおいては,年間指導計画の指導時数の関係から,学習展開を(a)の方法と