福島県教育センター所報ふくしま No.27(S51/1976.8) -016/026page
し,この場合は,自分の地域との比較は学習展開の表面に出てこないが,児童の頭の中でつねに内面的比較が行われるように留意するとともに,導入やまとめの段階でとりあげるように配慮する。
4. 単元「いろいろなくらし」における比較
- 何を比較するか
- 指導要領の内容(3)における,アの気候条件,イの地理条件,ウの交通条件。
- 何と比較するか
- 特色ある2つの典型的地域を相互に比較する。また,身近な地域(自分の市)と比較させる。
- 何のために比較するか
- 比較することにより特色がわかり,身近かな地域の特色が考えられ,人間の絶えざる工夫や努カが認識できる。
- 特色ある地域とは
- 教材としてすぐれた特徴を持つ地域であり,学習の展開においては,自然環境だけでなく人々の自然への働きかけを学習する。
以上のような研究をもとにして,次のように検証授業にとりくむことにした。
5. 検証授業計画
- 単元名 いろいろな土地のくらし 28時間
- 小単元名
- 気候とくらし
- あたたかい地方のくらし 4時間
- 寒い地方のくらし 5〃
- 土地とくらし
- 平地のくらし 4 (本時4/4)
- 本時の指導
- 題材 三本木原の作物と気候
- 本時のねらい
三本木原台地の米作りや畑作には,寒さに強い作物の種類を選んだり,防風林を作ったりして,地形や気候に応じたくふうがなされていることを指摘することができる。
- 指導過程
段階 学習活動 留意点 資料 問題は握 1 三本木原の平均気温や積雪量の分布図を読んで気候の特色を話し合う ○資料により,既習のどの地域に似ているかを考えさせ,気候条件をおさえる (1)十和田市の気温と降水量(グラフ) (2)2月の積雪量(気候図)
予想を立てる 2 新潟や十勝平野と関連づけて,農作業の期間および農作物の種類を予想する ○既習の新潟と十勝平野の農業と関連づけて予想を立てさせる (3)帯広の気候(グラフ) 実証する 3 三本木原台地の農業のようすを農作業の期間,作物の種類という観点からとらえ,米作りの方法について調べる 4 三本木原台地の農業のようすを教科書などによりたしかめる
○「三本木原の農事ごよみ」と「宮崎県の農事ごよみ」を対比させて気候条件による冬作,夏作の状況をとらえる ○米作り,畑作にみられる農業のくふうについて教科書の文や資料を通してたしかめさせる
(4)三本木原の農事ごよみ (5)宮崎県の農事ごよみ
(6)三本木原台地の土地利用図
(7)用水路の長さと田畑の面積(グラフ)
結論 5 農業にみられるくふうのようすを地形や気候の特色と関係づけて考え,話しあってまとめる ○東北地方の不安定な気候と三本木原周辺のやませについてふれる ○防風林は宮崎県の家のまわりの防風林と比較させ,はたらきの違いに着目させる
(8)三本木原台地の風向風速(表) (9)防風林のある田や畑(写真)