福島県教育センター所報ふくしま No.27(S51/1976.8) -018/026page
いうべき.児童の実態は握が十分でなく,学習が上すべりしていたのではないかと反省させられた。
- 間22は,事前29%で事前テストがあまかったこと,また,事後テストでは90%以上の数値が出るような指導を加えるべきだった。
- 問1,4,5,8,9,15,17,24,25など有効度指数が比較的高い数値を示しているが,これは指導段階のねらいに即応した適切な資料収集ができ,資料が最も有効にはたらいた結果であると思われる。
- 問6,7は,知識・理解をみる出題であるが,小問26〜33まで有効度指数が75以上となっており,このことから考察すると知識・理解の定着が思考力を支える裏づけとなっているものと思われる。
(3) 結 論
仮説をふまえた検証授業によって,事後テストの問題1〜5までの小間25のうち有効度指数70以上が70%を越えている。このデータから判断すると仮説による指導の効果を裏づけることが妥当であると思われる。
5. 反省と問題点
- 研究計画の1期の段階で,研究方法の指導をうけたにもかかわらず,研究の方法がつかめず,この段階での準備や見通しがあまかったため,その後の研究進度に支障をきたし,それを乗り越えるためにかなりの努カを要した。
- 思考力について自分でよく理解して指導にあたっているようでありながら,授業の過程やノート記録や客観テスト作成において,それをどうとらえ,測定し,評価するかがたいへんむずかしく感じた。さらに研究を深めたい。
- 資料についての研究は,さらに深める必要を感じているが,思考力を高める条件として,今後は小集団学習や発問を平行して研究していきたい。
6. 参考文献
教育研究法序説 福島県教育センター 思考力判断力の育成 明治図書 社会科における比較学習の指導 明治図書<教育研究法講座研究報告>
書くことにおける言語活動を高めるための指導
−自己表現を中心にして−
二本松市立岳下中学校(現在,三春中) 安 部 利 介
1. 研究の趣旨
(1) 研究の動機
昭和50年6月,岳下中の3年生全員を対象に英語学習に関する意識調査を実施したところ,英語を書くことが最も苦手であると回答した者が40%を上まわっていた。また,同じ時期に3年生全員に対し,身近なことについて5つの英文にまとめて書くことを課題として出しておき,1週間後に授業の中で書かせた結果,4〜5つの英文を筋が通るように正しく書けた者は皆無に近かった。
上記の理由から「書くこと」における言語活動を高めるための指導を主題として研究考察していくことにした。
<表1> 最も不得意な技能についての意識調査 技能 生徒数 聞くこと 13% 話すこと 18 読むこと 27 書くこと 42
<表2> 身近なことについて書く力の実態調査 正しく書けた英文の数 生徒数 5 0% 4 1 3 17 2 20 1 47 0 15 (2) 問題点
- 英文を書くことは極めて困難であると考え,自信と意欲を失っている。
- 身近なことについて数個の文-ここでは3個以上の文とする-が書けた生徒は20%弱である。
- 単語や基本文についてはある程度理解しており,機械的には書けるが自己を表現することができない。
(3) 原 因
- 「書くこと」の指導において,新出の文型や語句を書写させる指導とドリルはしてきたが生徒に主体的に自己表現させていく具体的手だてを欠いていた。
- 教材の精選が不十分であり,これらを全部理解させようとする無理な指導の当然の結果として,「書くこと」の指導を指導過程の中に明確に位置づけることができなかった。
2. 仮 説
(1) 仮説のための理論
学習指導要領によると,第3学年の場合,「書くこと」の言語活動として次の7項目をあげている。
- (ア)語,句および文を見て書き写すこと
- (イ)文を聞いて書きとること
- (ウ)身近なことについて文を書くこと
- (エ)日本語の文の意味を英語の文に書くこと
- (オ)行なったことを文に書くこと
- (カ)行なったことや考えたことを数個の文に書