福島県教育センター所報ふくしま No.27(S51/1976.8) -019/026page

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これらのうち,(カ)と(キ)は,第3学年になって初めて出てくる内容であることから「書くこと」の言語活動の最終的な目標であると考えられる。

 「書くこと」の指導は,「聞くこと」・「話すこと」・「読むこと」の指導の基盤の上に立って行われるものであることはいうまでもないが,それらの基盤さえしっかり指導すれば自然に書けるようになるとはいえない。この意味で,毎時の授業の指導過程の中に「書くこと」の言語活動をきちんと位置づけることが必要である。

 「書くこと」の指導を単なる書写や暗写の指導でおわらせず,自分自身の身近なことについて数個の文にまとめて書くことを継続して指導していけば,生徒の学習意欲と英語を書く力は向上していくだろうと考え,仮説を次のように設定した。

 (2) 仮 説

 「書くこと」における言語活動の指導において,毎時間,身近なことについて数個の文に書かせれば,生徒の学習意欲は増し,英語を書く力は向上するであろう。

3. 計 画

(1) 方 法   二群法による

(2) 対 象   実験群 3年2組 36名 (男17,女19)   統制群 3年1組 36名 (男17,女19)

(3) 組 織   個人研究とする

(4) 日 程   

  1. 第1期(6月〜9月)
    • 実態・意識調査,指導上の問題点と原因の考察
    • 研究主題の設定,仮説の設定
    • 研究計画の立案
    • 実験群,統制群の編成
  2. 第2期(9月〜12月)
    • 検証のための計画
      • テスト間題作成,学力検査の実施
      • 結果の分析,授業案作成,授業の準備
      • 検証授業の実施とテストの実施,結果の考察
      • 意識調査とその変容の考察
  3. 第3期(1月〜2月)
    • 検証結果の整理
    • 研究のまとめと反省

4. 概要と考察

(1) 経 過

  1. 実験群・統制群の編成(検定)  
    <表3>等質群の検定
      A 知能テスト  B 学力テスト 
    M  SD  M  SD 
    実験群  45.4  8.0  48.0  8.2 
    統制群  48.8  8.1  46.7  9.2 
    有意差検定  F 0 =1.03<F 0.05 =1.75 F 0 =1.26<F 0.05 =1.75
    t 0 =1.64<t 0.05 =2.03  t 0 =0.62<t 0.05 =2.03  
    有意差は認められない 有意差は認められない
  2. 研究仮説設定までの経過
    •  英語学習全般について,アンケート方式により生徒の意識調査を行い,今後の指導上の問題点の発見とそれらの原因の分析と解釈を行った
    •  学力検査などにより生徒の現有学力をは握した。その結果,「書くこと」の指導に大きな問題があることがはっきりしてきた。
    •  教師の日常観察と今回の調査・検査の結果がほとんど一致しており,「書くこと」の指導に重点をおく必要があることを痛感した。
    •  「書くこと」の領域の中で,必修語いや短い基本文については,ある程度書けることから,「書くこと」の言語活動のうち,特に身近なことについて数個の文に書く指導を通して自己表現の喜ぴを発見させていけば,英語学習に対する意欲が向上すると考えた。
    •  Writingを文字による表現の単なる技能としてではなく,communicationとしてとらえさせ,指導していくことが重要であると考えた。
  3. 検証の構想
    • 検証の内容
      •  身近なことについて数個の文に書く力が伸ぴてきたかどうかをは握する。
      •  その基礎としての語句および基本文を正しく書く力(語順や文法に関することも含む)がついてきたかどうかをは握する。
      •  英語学習に対する意欲がどう変容してきたかを知る。
    • 検証の方法
      •  事後テストにより有意差の検定をする。
      •  英語学習に対する意欲については,事前・事後の意識調査により考察する。
    • 評価の尺度設定

       身近なことについて数個の文に書く力の評価は次の尺度で行う。

       A・・・・・・筋がすっきリしており,正しく6個以上の文が書ける。

       B・・・・・・筋がとおり,誤りがほとんどなく,5


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