福島県教育センター所報ふくしま No.27(S51/1976.8) -023/026page

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全国教育研究所連盟の動向

研究・相談部  小 野  弘 

 全国教育研究所連盟(略称「全教連」)は,全国の国・公・私立教育研究所(教育センター,教育研修所等)で組織し,共同研究,研究協議会,研究発表大会等の研究活動や研究成果の刊行を事業としている研究団体である。今年度も北海道江別市で発表大会が,広島県,岐阜県では,共同研究の第1回集会が,それぞれ6月に開催され,各部会が全国各地で開催される予定である。

 これらの集会について,研究活動の概略を報告いたします。

 1. 共同研究について <会場,(1)岐阜市,(2)広島市>

 全教連では,昭和49年度から3か年計画で次の(1),(2)の共同研究をすすめており,本年度は完結年次にあたっていて,12月に行われる予定の第6回集会にその成果をまとめるよう,研究がすすめられている。

(1) 「 学校経営の最適化に関する研究

<研究のねらい>

 最適化研究のねらいは,理想的な経営条件の摘出を意味するものではなく,学校が現実におかれている条件下で,よりよい状況を作り出すための手がかりを発見していくことにある。この研究においては,「教師の指導効果」を軸として,教授・学習を構成する要素,教授・学習をとりまく要素を明らかにするとともに,促進的あるいは,阻害的に働く各種条件及ぴ機能について調査し,学校経営の改善に明確な視点を与えようとするものである。

 従来の学校経営改善の研究は,理想とする学校像を描き,局所的に改善,充実すべき点を指摘することに研究の重点がおかれたが,本研究においては,学校経営をシステムとしてとらえシステムのバランスをはかること,言いかえれば,組織体としての学校を動態的にとらえ,すべてにわたって混乱がないような状態におくこと。ひとりひとりが高まっても組織体は強化されないということから,個々の人間を対象とするよりも,組織全体が目標に向かって働くというアプローチをしていこうとするところに,本研究の特色かある。

<研究の内容>

1. 学校経営最適化のための構成要素を明らかにする。学校教育目標の実現に向かって,学校経営の人的条件,物的条件,金銭的条件,運営的条件(この4条件を4Mと呼ぶ)から構成的要素をおさえるとともに,要素間の関係,機能を明確にする。

2. 共通調査によって,学校経営最適化のための促進的阻害的条件を明らかにする。

 学校経営のうち,教授・学習に焦点をあてた共通問題を作成し,全国の小中学校を対象とした調査を実施することによって,指導効果をあげるための促進的・阻害的条件を明らかにする。

3. 学校経営最適化のための学校モデルの作成

 共通調査の分析・考察及び追跡調査の実施から,指導効果をあげるための最低条件,4Mの効果的な組み合わせ等のモデルを作成し,学校経営の全体設計を改善する方策を考える。

<研究の経過>

1. 第1年次

 学校経営の最適化を,具体的には学校の教育目標をどうしたら効果的に実現できるかということであるとおさえ,「どうしたら」の部分を教師の指導効果を核として,4Mの観点から構成要素を決定して,「学校経営最適化のフレーム」を作成した。

 さらに,第2回集会において,学校経営最適化のための促進的,阻害的条件を明らかにするため,構成要素を,目標,授業・教育課程,組織運営,研修とする「授業に関する教育経営の調査」問題原案を作成した。

2. 第2年次

 学校経営の最適化に関する意識調査の基本構成ならびに共通調査問題成案を推進委員会において作成,第3回研究集会において調査の方法,集計処理等について協議,調査対象機関32機関,小中学校384校・9,562人に調査を実施した。

 第4回研究集会において,共通調査結果の読み取りに基づき,選択肢についての重みづけと,Tスコア化を行い,

 ア 学校類型のわく組み

 イ 女子教員の構成比率

 ウ 教員の平均年令(校長年令,教員年令)

の視点から学校のプロフィールを作成し,最適化のための分析資料を作成した。

3. 第3年次

 第2次分析の結果

 ア 全国的なデータから,現存する個々の学校の実像を正確にとらえられない。

 イ 学校経営は,単にバランスがとれたものであれば


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