福島県教育センター所報ふくしま No.27(S51/1976.8) -024/026page
いいというものではない。
ウ 各設問は,最適化の観点からみて同等の価値をもつものではない。要因検出のための動態的分析が必要である。
ということが見出され,第2次分析が提供する静態的一般的な問題状況を前提において分析作業をすすめ,現存の個々の学校に,ある程度まで適用可能な最適要因を一定の条件を仮説的に設定することにより,真に学校最適化に効いている要因を,事例研究をとおして見出す必要が確認された。
(2) 「 教科における学習能力の発違と授業に関する研究 」
<研究のねらい>
個々の子どもが,具体的な学習内容に出合ったとき,それまでの学習や経験から得られていた知識や能力を,どのように動員,駆使できるものなのか,また,その学習の遂行・成就の過程において,新たな知識・能力を,どのように獲得・活用し,定着させるものなのか,その実相をとらえることをねらいとし,学習能力の形成過程を授業を通して明らかにすることにより,個々人の学習能力を開発しようとすることを目的としている。
<研究の内容>
- 学習能力育成のための最適教材の計画化
- 学習能力分析方法過程の科学化
- 子どもの学習の筋道(思考のパターン)の明確化
- コンテントの側面と,子どものビヘイビアの側面からの学習目標の設定
<研究の経過>
(1) 第1年次
第1回研究集会において,研究目標と研究内容についての共通理解をはかり,第2回大会において,
- つまずきの多い子どもに焦点をおき,学習能力の形成過程を明らかにすること。
- 学習能カのパターンを明らかにすること。
- 学習ハビットの革新が,学習能力の形成にどのよラに寄与するかを明かにすること。
が研究課題として設定された。
(2) 第2年次
第1年次の研究において,子どもが現有する前提能カと,教師の予測し期待するゴールとの間にズレがあるから,子どもは学習につまずくのである。このズレを確かめる必要がある。学習は思考過程であるので,子どもの思考過程の類型に即して指導内容・指導方法か修正されねばならない,として「学習能力の形成過程を授業を通して明らかにする」ことが,課題として設定された。さらに,第4回研究集会において,教師サイドに立ち,教科の論理に根ざした授業を,子どもサイドに立って,ひとりひとりの子どもをのぱす授業の開発に,視点があてられるべきであることが確認された。
(3) 第3年次
各教科における学習能力の実能と構造について
- 学習の日標にてらして,子どもの見方,考え方の実態を明らかにする。
- 実態から子どもの「つまずき」や「問題点」を明らかにする。
- 学習目標にかかわる思考の流れの実態を明らかにし,類型化する。
- 能力形成の方法・手順を学習目標にてらして明らかにする。
- 学習能力の開発実践事例については,学習目標の分析と形成的評価研究により,学習のプログラムを作成する。
なお,研究の成果は,「ことば」,「かず」,「社会」,「自然」,「芸術」の5領域についてまとめられる予定である。
2. 研究発表大会
本年度の研究発表大会は,課題部会(学習とつまずき),学習指導・学校経営部会,特活・生徒指導部会の3部会において,次の研究主題による発表がおこなわれた。(主なるもののみ)
- 幼児の発達と指導内容に関する研究
- 中学生学習適応実態の10年間の比較研究
- 福島県診断標準学力検査間題の現状
- 理科における学習の構造化と評価
- 学習の個別化への方略
- 学校を基礎としたカリキュラム開発の方策
- 複式小学校における校内研究の考察
- 学校の規模群に応ずる学校経営組織機構に関する研究
- 登校拒否の事例研究
- 子どもの校外生活に関する研究
発表の多くは,研究報告集第26次年報や各教育センターの紀要等に掲載されているので,それらから研究傾向をとらえられるので内容は割愛する。
3. 研究成果の刊行
(1) つまずきの分析と授業改造(26次年報)東洋館
(2) 学習内容の構造化 (25次年報)東洋館
このほか,数種の新刊書が発行されておりますので,ご購読をおすすめする。
4. 研究協議の課題
本年度は次の研究課題について行われる。
(1) 情報・図書資料 (2) 情報処理能力と授業
(3) 芸術・国語 (4) 特活(進路指導)
なお,52年課題は5協議会とする案もあって一部未定であり,決定をみたのは次のとおりである。
(1) 学校経営 (2) 惰報処理能カと授業
27次年報テーマアンケート結果
1位 学習目標の分析と評価