福島県教育センター所報ふくしま No.54(S56/1981.12) -023/034page
研究プロジェクト状況報告
習熟度別学習指導の基礎的研究
−数学I・英語Iにおける目標行動の設定と形成的評価問題の作成−
研究推進委員 斎 藤 洸 旦 大河原 博 美 上 川 洋 行当教育センターは,昭和54年度からプロジェクトチームを組んで,習熟度別学習指導の研究に取り組んできた。昨年度は、その結果を「習熟度別学習指導研究の手引き」にまとめた。これは、習熟度別学習を単に習熟度別学級編成という狭いとらえ方をするのではなく,広く教育課程全般にわたる学習指導法の改善として体系的にとらえようとしたものであった。習熟度別学習を実施していく上で.考えられる様々な課題や疑問に応えるという形をとった研究であった。
今年度は.昨年度の理論の上に立って,「何」を「どのように」学習するかという二点にしぼって,数学I・英語Iの教科・科目に下ろして研究を進めてきた。従来,習熟度別学習は習熟度別学級編成とか指導法等に焦点が当てられ.学習内容を習熟度に合わせていかに組織化し.それを学習括動にいかに結びつけるかという点については.研究が不十分であったと考えられる。そこで,この基礎的研究に県下7高校の先生方の協力を得てプロジェクトチームを組んで研究し,その結果を今年度末に研究紀要として刊行する予定である。
1 研究の構想
(1) 研究のねらい
○ 学習内容を目標行動化し,それを習熟度別学習に応じられるように下位目標行動に下ろし,その目標群を段階・階層化し学習順序に配列する。
○ 下位目標行動群に対して,形成的評価問題を作成・準備して,習熟度に応じた学習が図れるようにする。
○ 上記目標群は,断片的をものではなく有機的に一つのまとまりのある学習単位に統一されるものとする。また.下位目標行動群に配される形成的評価も発展(深化)・補説へ弾力的にフィードバックされるものとする。
(2)研究の位置づけ
数学I・英語Iの学習は.中学の学習の上に成立するもので、中・高教育の一貫性という発想に立つべきである。そこから,数学I・英語Iの学習がスタートすることはいうまでもない。もちろん,中学時代からすでに習熟度は異なるものであるから,各校は自校生徒の実態を考慮すべきであろう。当教育センターの研究は、仮説的に下図の中位段階を考えてモデル研究を進めることにした。研究の位置づけを下図に示す。(3)目標行動分析と形成的評価問題作成
目標行動の分析に先立ち,学習指導要領を習熟度別学習の視点から分析・整理した。目標行動の階層化には.目標行動分析・教材分析の手法を駆使した。教科・科目の性格上.階層化は不可能に近い場合もあったが,不完全を分析でも試行的に,習熟度別学習指導を可能にすべく,分析を進めたので、試案の域を出ない。
形成的評価問題は,下位目標群に配するように作成したが,その意図は目標に到達しているか,あるいはつまずいているかをチェックして,到達していれば発展(深化)へ進ませ,つまず