福島県教育センター所報ふくしま No.59(S57/1982.12) -005/038page

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小学校教材

音読・朗読の技能を高める指導

教科教育部  渡 部 裕 之

1.はじめに
 音読・朗読は,国語科学習の中では広く用いられている。しかし,それは形式的であり,しかも無反省のままに,行われる傾向があり,必ずしも音読・朗読の機能を生かしたものではなく,その技能を高めるための方策などもあまりとられていないように思われる。例えば,音読・朗読に関する意識調査〔表1〕からみると次のようなことが指摘できる。

1 音読・朗読については,他の学習に比べると,学習意識が低いようである。

〔表1〕 音読・朗読に関する意識調査

(T校5年 N=36)
 
◎音読・朗読が好きですか, きらいですか。 好き ・・・・・・・・・10名
きらい ・・・・・・・・9名
どちらでもない 17名
◎自分からすすんで,音読・朗読しますか。 する ・・・・・・・・・・0名
しない ・・・・・・・30名
わからない ・・・・6名
◎朗読するとき,聞き手のことを考えますか。 考える ・・・・・・・・4名
時々考える ・・・20名
考えない ・・・・・12名

2 はっきりした発音で音読することに慣れていないなど,発音・音量・速さなど基本的な事項が系統的に指導がなされておらず,定着していない。しかし,学習指導要領では,音読は,1〜4年の「理解」の領域に位置づけてあり,朗読は,5〜6年の「表現」の領域に位置づけられている。各学年の言語事項ア、イには.基本的な発音,姿勢,口形,声量,速さなど発音・発声に関する重要な指導事項が明示されている。

 更に,音読・朗読は,文章の主題や要旨をより深く理解させるためにも重要な技能である。そこで,音読・朗読の基本的な事項をおさえ,その技能を高めるには,どのようにすればよいかについて,以述べることにする。

2 音読・朗読の技能を高めるための方法

(1)音読・朗読に必要な基礎的能力について図示すれば〔表2〕の通りである。
〔表2〕

表2

(2)具体的な方法として考えられることは,次の@〜Bである。

1 発音・発声の練習や誤読をなおすなど,基礎練習をする。
2 読み取りを確実にするための指導法の工夫をする。
3 自己評価,相互評価の方法を考える。

3 指導の実際
(1) 発音・音量・読む速さについて
 1 発音
   明確な発音やアクセントというものは,日本語の語感を育てていくための根幹をなすのである。
  高学年になっても,
   
・語尾を不必要にのばす ・発音が不明瞭
・無意味な抑揚をつける。 ・間がとれない
・鼻濁音がはっきりしない   


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