福島県教育センター所報ふくしま No.59(S57/1982.12) -006/038page
などの児童が見受けられる。
ア、基礎練習をする。
イ、ラジオ放送やレコード,テープなどを聴取する機会を多くする。この際, 具体的な音声を繰り返し聴取させ,明瞭な音声を身につけさせていくことが大切である。2 音量
声の大きさも大切な要素である。声の大きさは大きすぎず,また,小さすぎず教室のみんなに聞こえるということが最低条件である。
ア、隅の席から対角線の端の席まで聞こえる声の大きさで読ませる。
イ、性格などで声の大きさに個人差があるのでテープなどに録音・再生して聞かせ,自分の声量の実態を把握させ,遠い所にいる児童にも聞こえるように意識づけていく。
3 読む速さ
小学校の学習読みとしての音読・朗読の速さとしては,1分間に250〜300字が適当であるといわれている。
ア、読みの速さの基準は,聞き手の理解との関係で決まる。
イ、基準とともに,個々の児童にあわせて考えていくことも大切である。
ウ、視聴覚機器の効果的な利用を図り,児童の読みの速さの感覚を育てるよう努める。
(2)充実した読解指導がよりよい朗読を生む
朗読は,ぎりぎりの読解・解釈の個性的表現であるといわれる。読解の浅い児童は,それなりの表現しかできず,作者の意図や主題までも深く理解した児童は,それなりの深さを朗読によって表現することになる。したがって,朗読は読解の結果の表現であると言える。(3)自己評価・相互評価を考える
音読・朗読の効果を上げるためには,授業における指導のねらい・場面・機会などをおさえ, 効果的な指導過程・形態・技術を工夫することが大事であるが,適切な評価がなされるかどうかで子どもの読みの力が目に見えて変わってくることも見逃せない事実である。4 事 例
(1) 音読・朗読の基礎練習
1〜2年生の場合
1 正しい発音をしたり聞きわけたりする練習をする。特に拗音・促音・似ている発音の区別やアクセントなどに注意させ,書写と並行して扱うのがよい。
2 フラッシュカード等を利用して拾い読みでなく,語や文として音読できるようにする練習をする。
3 役割りをきめて読み合うなど,会話文を気持ちをこめて読む練習をする。
4 みんなに聞こえる声の大きさで読む練習をする。低学年であればあるほど,他の学年よりも多くの基礎練習をとりたい。低学年の場合,基礎練習の成果が即国語の力となることが多い。(2) ラジオ放送(NHK)の活用を図る
〔表3〕ことばの教室(4年のテキストより)このようにNHK学校放送や,その他,補助教材などを年間計画,あるいは,週計画の中に組み入れて聴取させることも一つの方法である。
(3) 指導事例
次に教科書(光村3年)に出てくる「手ぶくろを買いに」を使って,読みの速さの指導の一例を述べてみる。〔表4〕