福島県教育センター所報ふくしま No.59(S57/1982.12) -012/038page
教 育 工 学
わかる授業にせまる教育機器の活用
(その4)−スライドの特性と自作上の留意点−
経営研究部 山 田 明
1 はじめに
最近の視聴覚機器の利用は,スライド映写機や16ミリ映写機に変わって,OHPやVTRが中心になりつつある。しかし「視聴覚機器の利用は,スライドに始まりスライドに終わる」という言葉があるように,スライドのもつ特性が再び見直され,いろいろな分野で活用されてきている。特に,スライド作成機,カラーのリバーサルフィルムの改良等によって,自作も容易になり,OHPとの併用などで授業の改善に効果をあげている。そこで,もう一度,スライドの効果的な利用法等について考えてみたい。2 スライド映写機の構造
スライド映写機(図1)は,光源ランプからの光を反射鏡にあて,その反射光を集光レンズで集め,映写レンズとの間にはスライドの画像を,映像としてスクリーンに投影する機械である。光源ランプは,タングステンランプが中心であったが,最近は,OHPなどの光源と同じハロゲンランプが使用されるようになり,寿命が長く,100〜150時間も同じ明るさを保つこともできるようになってきた。また,ワイドレンズの使用で,狭い教室での投影やOHPとの併用ができる機種もある。購入にあたっては,機種によってレンズの明るさや焦点距離が異なるので,使用する場所やへやの大きさに応じた横種を選定する必要がある。投影される画面の大きさは,スクリーンまでの距離とレンズの焦点距離によって変わるので,次の算定式を使って計算しておき,スクリーンから何m離してセットすればよいのか,OHPとの併用が可能なのかなど調べておく必要がある。
画面の横幅=フィルムの横幅×映写距離/レンズの焦点距離
3 スライド映写機の操作
映写機の操作は,比較的簡単であるが次の事項を守って正しい映像を投影することが大切である。
(1) 映写台は,安定したものを使う。
(2) 映写の際は, ファンスイッチを入れ, 作動を確かめてから,ランプスイッチを入れる。
(3)ランプをつけ,スクリーンに画面が正しく映し出されるように位置や仰角をセットする。横位置縦位置のスライドを併用するときは,特に注意してセットする。
(4)スライドは,フィルムの膜面(光沢のない面)を手前にし,上下が逆になる状態で入れる。間違って,上下左右,、反対に投影しないように,あらかじめホルダーに「↓」の印をつけておくとよい。
(5)フィルム面には,手をふれない。
(6) ピントは,投影前に合わせれば最後まで合うとは限らない。1枚ごとに注意して合わせたい。
(7) 電源コードの取り扱いに注意し,足にひっかけて映写機を倒したりしないようにする。
(8) 映写終了後は.機体やスライドを損傷しないように,ランプスイッチを切ってもファンを回しておいて,ランプが冷えてからスイッチを切る。
(9)リモコン操作のできる映写機は, 説明書等をよく読んで,操作法を熟知してから使用する。4 スライドの特性
スライドが,OHPと違って敬遠されがちな最大の理由は,TPのように直接書き込むことができないことにあると思われる。しかし,スライドにはスライドの良さがあるので,下記のようなスライドのもつ特性をふまえて,効果的に使用してはしい。
(1) 資料の一斉提示により,学習者の学習への興味や関心を高めるとともに,深い感銘や強い印象を与え,認識の均一化,動機づけ,学習の効率化などに大きな役割を果たす。
(2)映像は,形や色を忠実に再現するが,大きさに