福島県教育センター所報ふくしま No.59(S57/1982.12) -027/038page

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研究主題の解決策
数学科
1. 「学習のめあて表」によって,単元における学習の流れと,毎時間の学習のめあてを与えておく。
2. 「自己診断表」を使って.めあてについての自己診断をさせ,自分のつまずきや到達度を確認させる。
3. 「自己診断表」により,個のつまずきや到達度を把握し,その結果や「学習指導力ード」をもとに個に応じた働きかけをする。
4. 「形成的評価問題」を作成し,各問の誤答を予想することによって,生徒のつまずきや到達度に応じた学習コースを準備し,コースの選択をさせる。
英語科
1. 「学習のめあて表」により, 毎時のめあてと,その学習に必要な予習的課題として,目標に迫るための既習事項を与えておく。
2. 生徒一人一人のつまづきの原因がわかるような,本時のねらいに即した適切な形成的評価問題を補説問題とセットで行わせ,それぞれの到達度に応じたコース別学習課題を選択させ,その実施をとおして,個別的な指導・援助をする。
3. 自己評価や反省を「自己評価表」に記録させ,教師のコメントを記入することにより,個に応じた働きかけをし,お互いの人間関係を深めるとともに,学習意欲の向上につなげるように配慮する。

(2) 検証授業の期間
 昭和57年10月上旬〜11月中句に,3回の授業研究を実施し,個の確かな学習を成立させるためのあり方について研究する。なお,この授業研究は,観察の観点を明示した「2−1−2方式の授業研究」(紀要第39号)によって実施する。

(3)抽出生徒
 上,中,下位からそれぞれ男女各1名ずつ抽出生徒を選び,3回の授業研究の中で,この抽出生徒を中心に観察を進める。

(4) 解決策の効果の判定
 事前と事後に次の調査・検査を実施し,その結果を比較して,解決策の効果を判定する。
 ・イメージテスト(SD法) ・アンケート
 ・作文・事前テスト,事後テスト
 なお,徴候観察記録や自己診断・評価表なども活用する。

5 個別化を図るための指導資料
(1) 学習指導カード
 生徒の性格,学習への取り組み,現有学力などの個の実態をカードにまとめ,指導過程で,個に応じた働きかけをするための指導資料である。

(2)学習のめあて表
 数学科においては,毎時の学習の到達目標と,その学習に必要な既習事項を事前に知らせ,自己診断表の結果などをもとに,自己のつまずきや到達度に応じためあてをもたせようとするものである。
 英語科では,教師が毎時の目標文や,内容を理解させる上での重要な語,連語,文型等の指導に活用するだけでなく,生徒自らにもそれらを学習する際に必要な既習事項の定着の度合いを事前に把握させ,めあてをもって授業に参加させるための,難易度を3段階にした学習課題である。

(3) 自己診断・評価表
 毎時の学習への取り組み方について,自己のつまずきやできぐあいはどうであったか,学習コースの選択は適切であったか,などの観点から自己評価するものである。
 また,教師のコメントを記入することにより,個に応じた働きかけをする。

(4) 学習プリント
 形成的評価問題とつまずきを解消するための補充問題.及びコース別の問題から成り,学力差に応じた学習を進めやすくしようとするものであり,分枝型学習形態をとる時に主に使用する。

6 おわりに
 紙面の都合上十分言及できなかったが,本研究の計画,内容等について,その概要を述べた。本年度は,「学習指導の個別化」に関する継続研究の最終年度であり,授業実践の場に生きる研究を目指した紀要を刊行する予定である。本研究について先生方の御意見をお寄せいただければ幸いである。


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