福島県教育センター所報ふくしま No.59(S57/1982.12) -028/038page

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研究実践校紹介

へき地小規模校の特性を生かした教育活動

−ひとりひとりが主体的に参加し深まりのある話し合い活動を求めて−

檜枝岐村立檜枝岐小学校

はじめに
 本校は,昭和54年度,県小教研特別活動の研究校として,「学校行事に児童が進んで取り組むために学級指導ではどうしたらよいか」を主題として研究を進めてきた。そして,昭和55・56年度の2年間,文部省からへき地教育研究校の指定を受け,昨年10月に研究公開を,今年度は,引き続いて教科における深まりのある話し合い活動を求めて,国語科を中心に継続研究を進めている。

1 主題設定の理由
(1)昭和54年度までの研究の反省
  研究実践の中で常に問題とされたのは,実践活動を展開する上で,その基底となる話し合い活動の弱さである。話し合いに積極的に参加する児童は,全体の25%程度にとどまり,教師依存傾向が強くみられた。この現状を克服し,自発的自主的活動を展開するために,話し合い活動の充実が望まれた。
(2)地域性と児童の実態
  当地域は,隣接部落から約15kmも離れ,地理的に閉鎖的である。その上,少人数学級でクラス編成替えもなく,同じ成員で学級活動を行う中で交友関係が固定化し,限られた一部の児童を中心に序列意識が強く現れている。その結果話し合いは慣れ合いに陥り,消極的な性格の児童は.興味関心を失い,ひとりひとりの児童の能力が,十分に発揮されていない実情である。
 一方,この地域には独特の方言があり,父母はもちろん児童も日常語として使用している。また,授業の中でも,方言による発言が見られる。さらに,発問に対する応答も単文節が多く話し合いを活発にする障害になっている。
 以上のような理由から,望ましい話し合いの仕方を身につけさせることが,生き生きとした教育活動を展開するために必要なことと考えた。

2 基本的な考え方
 話し合いといっても,教科の学習における場合は,教師があらかじめ意図し計画したものであり,与えられた題材について話し合うのである。しかし,学級会活動における話し合いの活動では,教師の指導のもとに,「児童自身が必要と認めた議題」について,児童の進行により自主的に運営されるという違いはあるが,両者は密接な関連を内包している。
 そこで.教科指導において基本的な話し合いの仕方を訓練しながら,それを学級会活動における話し合いの活動に生かし,児童相互啓発による学び合いと話し合いを深め,それをもとに自主的活動を創り出し,到達と向上の喜びを持たせるとともに,その体験を各教科,領域の学習に転移を図ることにした。
 それと同時に,学級会活動を通して望ましい学級集団づくりを行い,自発性,自主性を伸長し,それをもとにして全校集団づくりへ発展させ,ひとりひとりの児童が生き生きとした学校生活が送れるように期待するものである。
 また,へき地小規模校の特性には,優性も劣性もある。研究の立場から次の事柄を長所ととらえ,短補長伸の考え方で研究活動を推進する。
 ・少人数がゆえに,それ自体で全員参加の話し合い活動が保障される。
 ・学級の成員が固定しているために,ひとりひとりの全人間的理解が容易である。
 ・一村一部落ゆえに,上・下学年の連帯が取れ易い。
 ・自然環境に恵まれ,自然に親しむ教育活動ができる。

3 研究の見通し
(1) 学級会活動における話し合いの活動では
 1 議題を吟味し,話し合いの形態と教師の助言の仕方を工夫する。
 2 発言回数や発言内容など,話し合いの活動


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