福島県教育センター所報ふくしま No.59(S57/1982.12) -032/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

(3)音声言語の表現力を高める指導
  正しい発音,発声そして共通語で朗読したり発表したりできるように,訓練の場や発表の場を設定して音声言語の表現力の育成に努める。
 火曜日と木曜日の業間の時間を「アイウエオの時間」とし,月別訓練計画を基に各学級ごとに生活文の発表練習をした。その練習の成果を金曜日の朝の「発表朝の会」において,1分間スピーチとして全校生の前で発表し,めあてに沿った話し合いを実施した。その他,学校行事児童会活動などあらゆる機会を通して,原稿を見ないで発表する指導を積み重ねてきた。
 <実践例> 発表朝の会
実践例

(4) 全校活動<水芭蕉(創意を生かした活動)>
  これらの実践の集大成として,毎週水曜日の第3校時に「水芭蕉の時間」を特設し,集会活動(花の輪),話し合い活動(光の輪),個を伸ばす自由活動(水の輪),知性を高める活動(緑の輪)の4つの活動を実施した。

 <年間計画>
年間計画

5.成果と今後の課題
(1) 児童の変容
 1 学級会ノートを活用することにより,全員が自分の考えを持ち,話し合い活動が活発になり,主体的な参加が図られた。
 2 学級会活動をはじめ,あらゆる場や機会において,堂々とした態度で主述のはっきりした話し方ができるようになった。
 3 話し合いの技能が身につき,消極的な性格の児童にも発言が見られるようになった。
 4 2人組の話し合い活動の場を取り入れたことにより,自分の意見を確認したり,お互いの考えを補正できるようになった。
 5 全校活動に積極的に取り組む姿が見られ,自主性が伸長してきた。

(2) 今後の課題
 1 フォーマルな活動の中に,小規模校の特性であるインフォーマルな活動を生かす工夫をする。
 2 教科の指導においては,話し合いを活発にし思考を練りあげるために,児童の課題意識を高める学習方法を身につけさせる。

あとがき
 上記のような成果と課題を踏まえ,今年度は,「国語科(物語文)における,深まりのある話し合い活動を求めて」を,テーマに設定した。そして,話し合いを活発にするには.ねらいに沿った読み取りが前提であると考え,読解を中心とした授業研究を実施している。
 本校児童は,生活経験及び読書経験の不足から,情景や心情を読み取る学習にかなりの抵抗があり,試行錯誤しながら実践している。児童の主体的な読み取りができるように,今後も継続研究を進めていきたい。

 また,「金曜朝の会」を,1分間スピーチから読書感想文の場に改ため,「あゆみ」(個人カード)を,実践意欲の自覚から教育目標具現化の手だてという観点に改善した。
 77名の児童ひとりひとりが,自ら考え,判断し実践できるようになることを目指し,地域の素材の教材化を通して地道な研究を継続していきたい。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。