福島県教育センター所報ふくしま No.75(S61/1986.2) -003/038page
3.指導の工夫教師が,どの生徒も運動の特性に触れることができるような教材や技能の練習法を工夫することは,ゲームや集団技能を中心とした授業を展開するための大きなポイントになる。
(1)ルールの工夫
今や.バレーボールにおける世界のトップゲームでも「ファーストレシーブのドリブルの容認」とか「サーブブロックの禁止」など,ゲームを面白くさせるためにルールを次々と改正している。従って,能力差の著しい生徒がプレーする体育の授業において,ルールを工夫することは非常に重要である。
1軽量ポールの使用
正規の4号球(250g)や5号球(270g)では,指への負荷が大き過ぎると判断される場合,軽量4号球(210g)や家庭バレーボール(210g),レクリエーション用(170g)などの軽量ポールを使用させることによって比較的手軽にゲームを楽しませることができる。2コートとチーム編成
身長によって等質チームを編成し,身長の低いチーム同志は低いネットで対戦させることによって,どの生徒にもネットぎわのプレーを体験させる。あるいは,技能の向上に合わせて,3〜4人のチームを編成し,ルールやコートの広さなどを工夫してゲームをする。3ホールデイング・ゲーム
パスやトスのホールデイングを容認する。パスやトスは,すべてオーバーハンドに限定することによって,基本姿勢でのプレーの強化を図り,ラリーを続けてゲームを楽しむことができる。4ワンバウンドレシーブ・ゲーム
サーブレシーブやアタックレシーブがうまくできないためにゲームが成立しないことが多いので,ファーストレシーブは,すべてワンバウンド後に行ってゲームをする。その際ツーバウンド目の落下点がコート内になるように返球させることによって,ボールの勢いを小さくしプレーし易くする。5貢献度得点
本時の指導のねらいや内容によって,それぞれの技能や態度などに得点比重をつけ,時間制のゲームにおける総得点で勝敗を競う。
学習カード等を使って,ゲームへの貢献度を記録させたり,教師が評価してやることによって,生徒は,その技能をかなり意識してプレーするようになり.協力や責任など,チームの一員としての役割を積極的に果たすようになる。
貢献度得点の例 (表1) 本時のねらい 状 況 得点 本時のねらい 状 況 得点 ・サーブ ・サービスエース 2 ・サーブレシーブ ・前衛に返した
・セッターに返した1
2・トス ・セッター以外の人がトス
・セッターがトス1
2・スパイク ・スパイクを打った
・スパイクが決まった1
2・ブロック ・ポールが手に触れた
・止めて決まった1
3・アタックレシーブ ・ポールが前衛に戻った
・アタックにつながった1
3・カバー ・レシーブのカバーがよくできた
・アタックのフォローやブロックカバーがよくできた1
1・フォーメーション ・チームの作戦通りのフォーメーションで動いた 1 ・マナー ・失敗した仲間への励ましや注意の態度がみられた 2 (2)技能練習のゲーム化
チーム内における個人及び集団技能を改善するための様々な練習も,他の班と競争させることによって,意欲的に取り組ませ,能率を上げさせることができる。