福島県教育センター所報ふくしま No.75(S61/1986.2) -011/038page
生徒指導 生徒指導における児童生徒と教師との人間関係の改善・促進を図るための一視点
経営研究部 藤本 忠平
1.はじめに最近の生徒指導上の問題には,いじめ,暴力,体罰など人間関係にかかわる場合がしばしばある。
しかし,こうした問題に限らず,生徒指導はすべて人間関係を基盤として成り立つものである以上,人間関係の改善や促進が強く望まれるところである。
ここでは,児童生徒と教師との人間関係に絞って,その改善や促進を図るための視点を探ってみる。
2.教師がとらえた児童生徒からの信頼度と授業における人間関係
教師は,授業を担当している児童生徒からどの程度信頼されていると思っているのだろうか。このことについて.昭和59年9月,全国教育研究所連盟が「生徒指導の推進に関する調査」を行った際に得られた本県の調査結果の一部から考察してみる。
この調査は.県内の公立の小学校15校,中学校10校,高等学校10校を学校規模,地域性など勘案のうえ抽出して依頼した。ここに引用したのは.授業における教師と児童生徒及び児童生徒間の人間関係に関する設問の部分で,学級担任,ホームルーム担任.教科担任のみを対象とし「あなたは授業を担当している児童生徒から親しまれ(または信頼され)ていると思いますか。」という問に対し,5つの選択肢から回答を1つ選択させたものである。
その結果をまとめたものが図1で.小学校ではまる4「約3/4%の児童生徒」の項の回答が最も多く(43.7%),次がまる5「ほとんど全員」(31.0%)である。まる4とまる5を加えると小学校で74.7%となり,中学校43.2 %,高等学校42.8%にくらべはるかに高い比率を占め,教師の児童生徒に対する見方に大きなひらきのあることがわかる。これは,小学校の場合,ほとんどの教科を学級担任が指導するのに対し,中・高等学校では,教料担任制をとっていることなどに関係があるものと思われる。従って,中・高等学校では,触れ合いの機会などふやす工夫が大切と思われる。
ちなみに,全国調査の結果は,まる4とまる5を加えて小学校69.9%,中学校38.6%,高等学校35.8%であるので参考とされたい。
次に教師のとらえた児童生徒からの信頼度と授業中における児童生徒との人間関係について、全国調査の結果を図2でみてみよう。この図は、児