福島県教育センター所報ふくしま No.75(S61/1986.2) -016/038page

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研究報告

学力の定着を図るための個に応じた学習プリントと自己評価票の活用


−1次方程式の解法の指導を通して一

大熊町立大熊中学校教諭
猪狩みか子

1.研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
  1次方程式は,中学校で初めて出てくる代数教材で.不等式,連立方程式,2次方程式へと発展していく。それゆえ,「数と式」の領域における基本としての重要な教材である。
  ところで,本校2年生の教研式学力検査(S59年4月実施)の結果をみると,「数と式」の領域における学力は,ほぼ全国水準並みであったが.個人差が大きく,1の段階の生徒が29%と多かった<表1>
 また,「数と式」の領域の中で,1次方程式の正答率が38%と低く定着度が悪いことがわかった。
 毎年,生徒は,1次方程式の教材に意欲的にとりくんでいるが,すべての生徒に,方程式を確実に解く力を身につけさせるためには,下位群の生徒たちへの手だてを考えながら,従来の指導法を見直し,改善,工夫する必要があると考え.本主題を設定した。
表1 5段階分布出現率(%)
数と式 1 2 3 4 5
29 12 16 16 27


(2)問題点
表2 1 2年生に,方程式のテストをした結果,正答率は<表2>のようであった。
  問題別に分析してみると,(2)(3)のような 基本的な問題でも正答率が80%を超えない。
 したがって,かっこのついたもの,分数や小数が入ったものになると,正答率がぐっと低くなってしまう。



2 数学への学習の取り組みが消極的で,自分の力で解決しようとする生徒が少ない。
 また,わからない時,教師に質問する生徒が少なく,教師と生徒問のコミュニケーションが不足している。<表3>

表3 数学の学習についてのアンケート
授業中発表をしますか
する 9%
時々する 62
しない 29
先生の話をよくきいていますか
は い 38%
ふつう 59
いいえ 3
わからない時どうしますか
先生に質問する 7%
友人に聞く 56
そのままにしておく 37

(3)原因
 1 生徒側から
 ア、正負の数,文字式の計算能力が不十分である。
 イ、式の項,文字式のきまりの理解が不十分である。
 ウ、移項の意味,方法をよく理解していない。
 エ、「かっこの処理」「分数・小数係数の処理」の技能が定着していない。
 オ、反復練習が不足している。
 2 教師側から
 ア、生徒の実態把握が不十分であった。
 イ、個に応じた指導の工夫が足りなかった。
 ウ、方程式を解くための基礎的事項について定着のさせ方が不十分であった。
 エ、授業の効率化が図られていなかった。
 オ、適切な評価活動をとり入れなかった。

2.仮説
    1次方程式の解法の指導において,段階ごとに自己評価を行わせ,その結果をもとに,学習

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