福島県教育センター所報ふくしま No.75(S61/1986.2) -020/038page
4 結果の考察
3 諸調査の結果
ア、事前・事後・把持テストの結果より
(ア)事前に比べて,事後の正答率は全問とも高く,特に3番の(7)(8)の有効度指数が91と高い。しかし.3番の(12)のような分数をふくむ方程式になると,有効度指数が39と極端に低くなっている。生徒たちは,分母を払うことにまだまだ抵抗を感じているようなので,もう少し時間をかけて,ドリルを重ねるべきであった。今後,個別指導をしていきたい。
(イ)下位群の生徒の事後テストの正答率は3番の(4)(10)(11)(12)が特に低く,分数,小数をふくむ方程式は,まだ理解不十分である。分数は苦手だという意識が強い生徒が多い。
(ウ)把持率は平均87%で,定着の度合いは大体良いといえる。これは,把持テストと期末テストの時期が重なったため,生徒が復習していたことも影響していると思われる。
イ、意識調査の結果より
(ア)わずかではあるが,事前に比べて,全般的に学習態度が良くなってきており,学習意欲が向上してきたと言える。これは,毎時間の自己評価,学習プリントによるコース別学習が生徒の意欲を向上させたと考えられる。
(イ) わからないとき,そのままにしておく生徒がまだ30%もいるので,今後,何らかの手だてを考え,指導していきたい。なお自己評価票の質問の欄に,質問を書く生徒は,毎時間平均して2名程度であったが,授業中の教師への質問は少しであるが,前より増えてきており,下位群の生徒の中にもやる気の出てきた生徒がみられる。
(3)結論
1 事前・事後・把持テストの結果からみて上位群,中位群の生徒については仮説は有効であったと言えるが,下位群の生徒については,必ずしも有効であったとは言えない。授業中だけではどうしても学習内容を理解できない生徒が2〜3名いた。
2 自己評価票の活用は.学習慈度の向上に効果があった。
3 学習プリントによってコース別学習をさせたことは,生徒個々の学習意欲の向上に大変効果があった。個に応じた学習の大切さを知らされた。
5. 反省と問題点
(1)下位群の生徒について,学習意欲は向上したが,学習内容の理解,学力の定着について期待していたほどの効果が表われなかったことは問題である。今後,個別指導,家庭学習の指導を通して学力の定着を図っていきたい。
また,この面の研究をしていきたい。
(2)コース別学習に時間がかかりすぎ,自己評価の時間が少くなってしまうことが多かったので学習プリントの内容の検討,学習形態の工夫などをしていきたい。
参考文献
・教育研究のすすめ方、論文のまとめ方 策一法規
・校内研究のすすめ方 第一法規
・学習評価の研究 図書文化
・教材研究のすすめ 明治図書