福島県教育センター所報ふくしま No.75(S61/1986.2) -026/038page

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個人研究

自らの力で読みにたちむかう子どもを育てる指導


−説明的文章に焦点をあてて−

会津若松市立鶴城小学校教諭
渡部 敏子


1.はじめに

 学校教育に求められている人間性豊かな個の育成に迫る「一人一人を大切にするゆとりと充実のある教育」を深めるためにも,子ども一人一人に焦点を当て,自己を高め自ら学ぶ意欲的な子どもを育てることである。
 子どもたちは,国語の学習において,「何を学習すればよいか。」「どんな方法で学習すればよいのか。」「何がどのようにわかったのか。」など,自分の力で学習を進めるまでに成長していない。そこで,説明的文章に焦点をあてて,2年生38名を対象に,自ら学ぶ意欲的な子どもを育てようと考え研究にとりくんだ。

2.研究実践

(1) 自力学習をさせるための学習過程

 子どもたちが,自らの活動によって知識を学習するだけでなく,どのようにすれば,学習が達成できるか。という方法を体得させるための学び方を読解教材を通して,次のようなことを基本的なものとして意識させ習慣化させた。
1 おしまいまで読む。(課題把握)
 ・自己の持てる全力を投入しての読みで,漢字語句の推察読みをさせる。
2 問題や調べ方を決める。(学習計画)
 ・個人としての問題と共通の問題をきめ学習の計画を立てる。
3 くわしく調べる。(ひとり読み)
 ・課題にそって,一人一人が,教材をじっくり読み調べる。
4 わかったことを確かめる.(学習読み)
 ・集団の学習により読みのねりあげをする。
5 まとめる。(自己読みの確認と修正)
 ・ワークシートや感想文でまとめをする。
6 練習と力だめし
 ・ことば,文字,文などの練習や評価

 この過程を意識させるために,子どもの意識を大切にし,学習の流れを考え次のようなことを配慮事項として指導にあたった。
1 教材との出会いを大切にする。
2 学習に見通しをもたせる。
 ・一人一人に課題をもたせ.問題意識が持続され,ある程度の解決への見通しがもてるような学習課題作りと学習計画を子どもと共に立てる。
3 創造的,発見的な活動のみられるような場の設定をする。
 ・新しい見方や考え方ができた,動作化ができたなど,創造的発見的な活動が見られるような場の構成がわかるようにする。
4 自己確かめの場の設定
 ・自分の読みとりがよかったかどうか。
 ・友だちの考えと同じだったかどうか。
 ・まだ,他にもよい考えはないか。
 など,自己の学習の成果を確かめ,友だちから得たものや先生から学んだものの確認をはかったり修正したり,これから追求したりしていこうとする学習のふりかえりができるようにする。


 (2)楽しく読ませるために

1 初めは.教科書を開かずに
 子どもたちが,説明文を読むとき,かえるのことや,たんぽぽのことについて知ろうと思って読むのであって,どんな順序性で書かれているのかをつかもうと考えて読むのではない。教師の指導意図と子どもたちの意図はずれている。無理に教師の意図を押しつけて読ませると,子どもたちには,おもしろくない読みになってしまう。そこで読みに入る前に,子どもの生活経験をもとに題名について話し合ってから読みに入るようにした。
「かえるのくらし」では,かえるについて,知っていることをノートに書いてから発表させた。
 子どもたちは,かえるの種類や形態,かえるの一生など,かえるに関することについていろいろと発表した。

    C、かえるの子どもは、おたまじゃくしです

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