福島県教育センター所報ふくしま No.75(S61/1986.2) -028/038page

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 K子は.簡単ではあるが,立派に説明的な文章で書いている。同じような手法で,学び方をさせていくうちに,子どもたちは,どんどんと変容してきていることがわかる。

2 初発の感想から.児童の実態をとらえる。
○ 教材「たんぽぽのちえ」から
 ・わかったこと
○2,3日たつと花はしぼんでだんだん黒っぽい色にかわる。(14名)
○花のじくをしずかに休ませて.たねにえいようをおくる。(13名)
○わた毛は,ひろがると,らっかさんのようになる。(12名)
○よく晴れた日には,わた毛が開いて飛んでいく。
 雨の日には,すぼんでしまう.(16名)
 ・ふしぎなこと
○ 2,3日たつと花はしぼんで黒っぽい色にかわって地面にたおれるのはなぜか.(16名)
○たおれていた花のじくは,またおき上がるのはふしぎ。(20名)
 この初発の感想から内容の方向牲をさぐり学習の順序や見通しを教師とともにたてさせる。そして,自分なりの読みにひたらせるのである。そこから,「なにがわかったか」「どこまでわかったか」「また,どんなふしぎなことがでてきたか」等、自分なりにはっきりさせるようにした。それを集約して,共通課題や個人の課題として,協同追求の場に生かすようにした。

3 さし絵を利用して吹き出しで書かせたり,動作化させたりして,
○ 教材 「かえるのくらし」から
「冬になるころ.土の中にもぐりこんだかえるはどんなことを考えているのでしょう。」と,いって,さし絵を利用して吹き出しに書かせた。これは,物語文でよく使われる手法を取り入れて、かえるの心情を想像させたのである。
 子どもたちは,楽しみながら、
「土の中:ぽかぽかしてあったかいよ。とても気持ちよくねむれるよ。」
「外は,寒いでしょう。土の中は,とってもあたたかいよ。」
「土の中は,とてもあったかくて気持ちよいから来年の春までこうしているよ。」
「ねむっているからおこさないでね。おこされると,とっても寒くて死んでしまうよ。」等と,かえるが,土の中にもぐるわけを読みとっていった。また,土の中にもぐっているかえるの様子を動作化させると,机やいすの下にもぐり小さく体をまるめて,自分の書いた吹き出しを口々に言っていた。
 このようにして,土の中にもぐっているかえるの心情やもぐるわけがなお一層深まりのある読みとりになっていったように思う。
○教材「たんぽぽのちえ」では,「たおれていた花のじくが,またおきあがるのはなぜかの追求に動作化をとり入れた。

T 花のじくは,どこかな。
C 花の下のところかな。(つぶやき)
C わかった。花の下のじくみたいなところだ。
C たんぽぽぶえ作るところです。
T そう,たんぽぽぶえ作るところ,よく気がついたね。そこが,いつどうなるのかな。
C このころになるとです。
C 栄養がたくさんたまるころのことです。
C 栄養がたくさんたまるとおき上がるのです。
T おき上がるってどうすることですか。
C こうすることだよ。(床にねそべって静かにおき上がる動作)(全員が,楽しそうにおもいおもいの動作化をはじめる。)
T おき上がるだけですか。
C せのびするように,ぐんぐんのびていきます。せのびするってこうするの。
* 子どもたちは,しゃがんだ動作からだんだんと立ち上がって,手でつぼんだ花の形にしながら,高く上げつま先立ちになっている。
C わかった。こうすると風がよくあたるんだ。
C わた毛に風があたって遠くまでとばせるんだ。

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