福島県教育センター所報ふくしま No.75(S61/1986.2) -030/038page
たはどうであったのかをふりかえらせた。そして改善していくところはどこか,子ども自らもだんだん気付くようになっていった。
この反省カードで反省することによって,子どもたちの学習意欲が,だんだんと増したように思われる。そして,一人一人が,できるようになりたい。読めるようになりたい。書けるようになりたい。という意欲をさらに強めてきた。
こうして.自分の学習状況を見直し,自分の学習のふりかえりを記録し,それを積み重ねて,進歩や努力のあとを確認させた。
また,他者(教師,友達)の評価(シールをはったり,賞賛の声をかけたり)を加え,その子なりの進歩を認めて励まし独善的に陥らないようにさせ,自己をみつめる力を培った。その結果,
○ やりたいこと,深めたいことなど,課題意識が強まってきた。
○ 自分なりにわかったことや不明なことをつかむようになり,課題について解決しようとする意欲が増してきた。
3.おわりに
(1)まとめ
○ 自ら学んでいく学習の手順は,理解単元全般にわたり,繰り返しながら習得させたため,学習時間外にも,ひとり調べをしたり,友達同志で協力して読み調べたりすることができるようになった。
○ 土曜日ごとに書かせる1週間の学習の反省ノートを見ると,国語の勉強があまり好きでなかったS子が,「国語は,むずかしくてとてもきらいだったが,このごろは,勉強がおもしろくなってきた。これからもがんばって勉強していきたい。」と書いていた。その後のS子は,毎日自主学習に視写を続けるようになった。
K児は,みんなと力を合わせて,手のしごとをさがしたのでたくさんみつけることができた。みんなで力を合わせたので楽しくできた。とそれぞれ感想を書くようになった。
○ 学習のふりかえりのできるノート作りでは,一人一人の能力に差はあるが,学習の成果がわかるように工夫し,自分にしかできないという自信にみちたノート作りをしている姿が見られた。文学教材の学習にも子どもなりに考えてノート作りに励み効果があらわれている。
○ 1時間ごとの自己評価は,次への学習意欲がわき自分から努力しようとする態度が見られるようになった。
(2)今後の課題
○ 説明的文章での板書は.児童の読みの意欲を阻害せず,興味を持って読ませるために重要な役割を担っている。児童の理解を誘発し,模索させ思考させ,次時および次単元への生きてはたらく力となるようにしていきたい。
○ 自己評価(反省カード)項目には,教師の教えたいこと,子どもが学びたいことが一体となったものとして作り上げられるように工夫していきたい。
○ 知りたい,調べたい,学びたいと思う問題を自分で見つけ,その解決方法や学び方を体得して,一人一人が,自ら学び,みんなで高め合っていく国語教室でありたい。
○ 「させられる学習」から「する学習」へと導き楽しい学習に努力する。
参考文献
・光村国語教室 光村図書
・国語指導書 文部省 光村図書(2年)
・文芸教育 明治図書
・国語科教育 明治図書