福島県教育センター所報ふくしま No.75(S61/1986.2) -032/038page
砂糖の性質,膨化剤の働きなど学習させる。
オ、肉まん,あんまんを作ってみよう。
酵母の働き,小麦粉グルテンの働き,なぜ強力粉がよいかなど学習させる。
例年,生徒たちの関心は高く,ほとんどの生徒が実践し,レポートを提出する。かつて,家庭での実験・実習について感想を書かせた時,次のように書いた生徒がいた。「実験がこんなにもおもしろいもんだとは思ってもみなかった。今までは,班ごとに実験をやってもできる人だけでやり,私は見ているだけだった。鍋をこがしたりして家の人に怒られたけど,これからもどんどんやっていきたい。」このような生徒の声を励みにさらに,興味・関心を喚起できるような内容の実験・実習を創意工夫していきたいと考えている。
(2)生徒と作る製造用具や設備について
1 プレート学習のためのプレートの製作
実習を中心とした科目,総合実習は,農産加工,肉加工,乳加工,実験の4つの班に分 かれて,1週間ごとのローテーションで実施している。(3年生は1つの班を専攻)そのため学習すべき基礎・基本的事項も多い。これらを茶色のカラートタン(70cm×90cm)に白色や黄色のペイントで書いたもの(プレート)を掲げておき,実習の開始前や実習中の小休止の時など,これらを見ることにより,自学自習できるようにしている。(プレート学習)このプレートは,主に3年生の手作りによるものである。角材を切って木枠を作りカラートタンを張る。自分たちの製作したものが,実習室に掲げられ,実際に役立っているという認識が,生徒の大きな喜びになっている。現在,各実習室に掲げたプレートは,30枚になった。上級生が製作したものを見て下級生が学習していくことにより,科内の上級生と下級生の相互理解と連携にも役立つと考えている。今後も継続して製作させていきたい。
肉加工室におけるプレートの掲示
2 ひしゃくを使った小型ナチュラルチーズのための圧搾装置の製作(省略)
3 ナチュラルチーズ熟成室の製作(省略)
4 ポリバケツ,塩化ビニール管を利用した乳酸飲料充てん機の製作(省略)
5 製造機器学習のための機器部品の展示(省略)
3.おわりに
前書きでも述べたように,年々,多様化する生徒に対応してもっと敏感に反応し,指導内容や指導法などを検討し.改善していかねばならないと考えているが,まだまだ思うにまかせぬ点が多い。以上,工夫を重ねながら,実践してきた内容について述べたが,今後とも継続研究し,いかにして生徒の興味・関心を喚起し,一人一人が生き生きと授業に取り組めるようにしていくか,努力していきたい。