福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -036/038page
ことができるようにします。
2.生徒指導講座
この講座は,小学校生徒指導講座と中・高生徒指導講座の2講座になっています。小学校生徒指導講座は,小学校における生徒指導の重要性にかんがみ,62年度より新設された講座です。
(1) 講座の目的
積極的な生徒指導を始めとし,生徒指導に関する諸問題について研修を行い,指導力を高めることがねらいです。
(2) 研修の主な内容
<機能としての生徒指導を目指して>
・ 生徒指導の原理と方法・生徒指導の機能を生かした学級経営・学校教育と人間形成(筑波大教授 真仁田昭)
<指導の基本を目指して>
・ 思春期の心理(県立医大講師 金子元久)
・ 生徒理解と対応(福島大教授 小野直廣)
<具体的な指導を目指して>
・ 生徒指導の全体計画(福島大教授 藤田昌士)
・ 生徒指導の実際
・ 生徒指導上の諸問題
(3) 研修の具体的な内容・方法
-1- 生徒指導の実際
「グループ・エンカウンター」を取り入れた人間関係づくりとか,「授業中ふざけている子供への対応のあり方」等について,演習などを通して体験的に理解していきます。
また,問題行動について,その背景となる要因や発生の手がかりについて理解を深め,その対処の基本について理解し,適切な指導援助ができるようにします。
-2- 生徒指導の機能を生かした学級経営
望ましい学級集団の育成の仕方について体験的に理解し,学級経営に活用できるようにします。
以上のように,演習と理論を総合的に組み合わせ,体験的な研修を通して,教育現場の要請に応えることができる講座を目指しています。
編集後記
* 所報ふくしまNo.87号をお届けいたします。各校では夏季休業も終了し第二学期,意欲的にスタートのことと思います。
* さて,今回の特別寄稿としては,教育調査研究所長 新谷政一先生から「学校教育の実践課題」と題して玉稿をいただきました。先生は,当教育センターの学校経営講座でもご講義をいただき数多くの示唆に豊むど提言がありますが,その中から一つ,次の内容を紹介します。
* 現代の子ども達にかかわる教育には,家庭がやるべき「養育」,社会が負うべき「訓育」,学校が果たすべき「教授」,これらの役割分担内容をはっきりさせて,バランスのとれた働きかけが必要である。特に,家庭では「是非の教育」にもっと力を入れるべきだ。日本の家庭では,幼い時にわがままを大目にみて自我が発達するにつれて禁止事項を多くし,自我を抑える傾向があるがこれは逆ではないか。また,学校教育では,これをふまえて,小学校では「正誤の教育」を,中学校では「適否の教育」を徹底すべきではないか。それらが「自己の主体性」をつくり,成人になるにつれ,「善悪」を知り,深く考えることにつながっていく。児童生徒の教育には,それぞれの時期と場において何をこそ最も大事なものとするか,教育活動の適時性と決定期間の問題を考えてみなければならない………。
* 一方では望ましい21世紀の学校教育を志向しながら,一方では現実の生徒指導の問題から改善の方途を模索する。私たちは,この二つの潮流をともにふまえ,目の前の児童生徒の日々の教育を考えていかなければならない・・・この意味で,今回の所報内容ではいろいろ考えさせられることが多かったように思われます。熟読を願います。
* 2号にわたって「県下小・中・養・高校現職研究主題一覧」を各教育事務所等のど協力を得て掲載いたしました。他校の研究動向把握と自校研究主題にかかわる研究成果の交換に活用ください。
(編集子)