福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -002/038page

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特別寄稿

コンピュータの教育利用

筑波大学学術情報処理センター
 教授  中山和彦

コンピュータ導入についての心配

本年3月に学習指導要領の改訂が発表され,新指導要領は平成5年度から実施されることになった。この指導要領では,いろいろな教科でコンピュータの活用が求められ,中学校の家庭・技術科に新領域「情報基礎」が加えられることになった。

指導要領改訂の発表から,いろいろな所で,教育へのコンピュータ導入,利用について関心が持たれ,ちょっとしたフィーバー状態を示している。

学校の先生,特に自分は機械嫌い,機械音痴であると思っている人は,「これからは,どうしてもコンピュータを教室で使わなければならなさそうなので,自分はどうしたらよいのだろう。」と心配されているようである。

教育行政当局は,「今後5年問に,すべての中学校に,1学級の生徒の半分の数だけコンピュータをいれなければならないが,財源を一体どうするのか。いれても,先生が本当に使いこなせるのだろうか。生徒に直接コンピュータの基本操作や機能を教えなければならない中学校の技術の先生の訓練をどうしたらよいのか。また,それ以外の先生の訓練をどうするのか。」と頭を痛めている。

コンピュータ利用は簡単

財政面での問題を除けば学校へのコンピュータ導入での頭痛の原因は,コンピュータを特別なもの難しいものと考えているためだと思う。かつ「て写真は,写真師と呼ばれる特別な能力を持ち,特別な訓練を受けた人によってのみ撮影された。10数年位前までは,学校で旅行や行事の時には,写真の上手な先生を指名して写真係を作り,記録写真を撮ってもらった。ところが今では,よほど特別な行事を除いて,写真係を作らない。写真機やフィルムが進歩し,誰でも,何時でも,どんな条件下でも,簡単に,しかも確実に写真を撮ることができるようになったからである。

コンピュータも同じようなものである。マイクロコンピュータの出現までは,コンピュータは特別な場所にしかなく,誰でもが使うわけにいかず,コンピュータ言語を修得して自分でプログラムを書ける特別な人達だけのものであった。

しかし,マイクロコンピュータが開発され,コンピュータが身近なものになり,個人で所有し,個人で使うことができるようになった。パーソナルコンピュータ(パソコン)となったのである。

そのようになっても,自分でBASICというコンピュータ言語を学び,自分でプログラムを書かなければならなかった。しかし,いろいろなア

教育メディアとしてのマイクロコンピュータの位置づけ


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