福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -006/038page

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を考えた。
社会科学習指導の構想

 上の構想図について,指導の段階に沿って説明を加えてみる。

 (1)個の追究特性の把握

 追究の特性は,決して固定的なものではなく,与えられた課題や発達段階によって変化すると言われている。したがって,児童の追究の特性をとらえる場合,把握する機会と方法が吟味されなければならないと思われる。

 社会科においては,子どもたちが具体的な社会的事象・事実と出会い,そこから追究すべき課題を導きだす場が,特性をとらえる機会と考えることが適切ではないかと考える。

 また,把握の方法については,できるだけ多様な方法から具体的な子どものイメージを割り出し総合的に判断することが肝要と考える。

 以上のことを前提に,特性を把握する方法についていくつかの例をあげてみる。

個のものの見方・考え方の特性の把握
把握の方法 予想される児童の主な反応結果
イメージマップ ・多量な観点から多量にイメージする。
・観点に沿って、次々にイメージする。
イラスト表現 ・思いついたことを大胆に自己表現する。
・全体のイメージや順序などを考えながら、ていねいに自己表現する。
文章表現 ・発想豊かで、独自の解釈をしながら考えをまとめたり、意味づけしたりする。
・問題事象に対して、順序よく構想だてたり、意味づけしたりする。
学習の様子の観察 。発想が豊かで,その場の思いつきやひらめきで判断する。
   。課題追究に主体的で,行動的である。
   。自律的な態度をとる。
   。自己の考えを友達や教師によく確かめたり,他の考えを取り入れたりす
 

 (2)学習コースの設定とコースの自己選択

 児童の学習実態から個に応じた学習内容と学習方法を考えることが求められる。

 つまり,子どもの追究特性に即応した指導内容と指導方法を学習コースとして設定することにした。そして,追究の特性を生かした学習の進め方としての学習コースを子どもたちに示し,自分はどの学習コースが追究しやすいかを判断させ,自己決定させる。子どもは学習コースを自己決定することにより,意欲的に学習に取り組み,個性的に追究することができると考える。また,自分に合わない時には,コースの修正も認めることも考えておくことが大切であると思われる。

 このように,コース別学習による学び方の積み上げを図ることにより,一人一人の子どもが,自らの追究の仕方に合う方法で,意欲的,個性的に追究できるものと考える。

 (3)児童が相互に交流し合う場の設定

 個性は集団の中で磨き合うことによって,より確かなものとなっていくものと考える。そこで,他と学び合う交流の場が必要とされてくる。つまり,自分の見方や考え方を友達と比較したり,関連づけあったりすることにより,個が高められ,自らをよりよく変えることができるものと考えるのである。

 他の人と一緒に学習を進める場で,自分の考えが認められたり,自分が気づかなかったことに気づいて考えが変わったり,また友だちの考えに触発されて新しい考えを思いついたときに,学習が真に楽しいものとなるはずである。

 自分の追究課題と追究方法を選択して行う学習においては,ともするとみんなで一斉に話し合う学習が成立しない場合がでてくる。話し合いを価値あるものにするためには,絶えず自分が追究してきた内容と方法を友達の考えと比べながら考え


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