福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -007/038page

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させることが大切となる。このような比べる活動を活発に行わせる中で個性も伸びてくるものと考える。

(4)自分の追究を見直し変容を自覚する活動追究を見直す活動は,子どもたちが自分なりに追究して生じるできた喜びが,他との練り上げによってよりよくできた喜びへと高まっていくための活動として位置づけるものである。言い換えれば,自分の考えや学び方をより深いもの,より確かなもの,より適切なものへと高めていく活動であるとも言える。

具体的には,次のような過程をとりながら自分の追究の軌跡を振り返ることを考えた。

【追求の見直しの活動の過程】
1.考え方や追究の仕方を相互に交流し合い共通点,差異点,さらに追究しなければな
↓  らないことに気づく。
2.自分にとって,さらに解決しなければならないことは何かを探り,見直しの方法に
↓  気づく。
3.見直しの観点に従って,自分の追究の過程や自分の考えを見直す。

この一連の活動の中で,自分の考えの修正,不足している部分の付加・補充,別の観点からの追究などが行われ,より価値のある考えや学び方を獲得していくことが期待できるものと考える。

4.個性を生かす社会科学習指導のしくみ

これまで述べてきたことをもとに,社会科の単元を通した学習の基本的なモデルを示してみる。

過程 形態 学習活動 教師の手だて
> 課題把握 課題設定 一斉 。事実・事象と出会い課題を把握する。
。学習コースを知り自分にあったコースを選択する。
。追求特性の把握と類型化。
。追求特性に応じた学習コースの提示。
追求の見通し コース別 。自分のコースを確認する。
。自分なりの追求の見通しを持つ。
。相互に交流し合い追求の見通しを持つ。
。交流により、互いの考えの不備を補わせ、追求の見通しを持たせる。
課題追求 追求I〜相互交流I 個・グループ 。課題を追求する。(個、グループ)
。繰り返し観察・調査活動をする。
。個性的に追求させるための助言や示唆を与える。(調べ方、まとめ方等)
。個やグループで確かめさせ、不十分な追求は再度追及させる。
。特性を生かした活動を促すための個別指導をする。
  〜相互交流II 個・グループ 。新たな問題点を追求する。 。個の追求特性が生きるように個別指導をする。
まとめ 自己の見直しと自己変容の自覚 一斉・個 。追求内容をまとめる。
。自分の学習の仕方を振り返り、次の課題にむかう。
。内容と方法の両面からまとめる場を設定する。
。自分の学習コースを反省させ、自分にあった学習の仕方を自覚させる。
。新たな課題を生み出させる場の工夫。

5.おわりに

本稿は,研究の第1年次にあたり個性を生かす社会科学習指導について理論研究を中心に述べてきたが,授業実践へつなげるために次のような課題もかかえている。

。子どもの心情にまでふれるための実態のとらえ方をどこまで具体化できるか。

。適切な処遇を教材とのかかわりからどこまで多様化できるか。

。児童が主体的に追究活動に取り組むための能力,態度の育成をどう図っていくか。

。コース別に学習したことを,相互に交流する場面での指導の在り方をどう具体化するか。

これらの課題の解決を図るためにも,具体的な手だてを考えながら,授業実践を試み児童の活動の様子と変容をとらえ,分析検討を加えていく必要があると考える。



◇参考文献◇

。社会科の個別化・個性化指導          明治図書

。個を生かす社会科の学習課題づくり       明治図書

。講座個別化・個性化教育            黎明書房

。自己実現の喜びを生み出す学習指導法      福岡教育大附属福岡小学校

。個性を生かした学ばせ方            図書文化

。学習指導論                  第一法規


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