福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -009/038page

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を,自分の内(例えば自分には生まれつき能カがあるから,一所懸命頑張ったから)に帰属させるタイプを 内的統制型 ,自分の外(例えばたまたまラッキーだったから,テストが易しかったから)に帰属させるタイプを 外的統制型と 命名し,こうした原因帰属意識を 統制の位置 と定義した。内的統制型の方が外的統制型よりも,学業成績が良好であり,仕事も進んで行うという研究報告が多い。私は,これに関連して,統制の位置に関する研究(1984)で,「女子の統制の位置は男子と異なり,小学5年生頃から中学3年ぐらいにかけての成功経験や失敗経験に大きく左右されながらほぼ固まっていく。」という傾向を見いだしている。

【研究I】数学科に対する関心・態度の調査 方法

数学科に対する関心・態度を,数学教育研究会編の『数学の授業について(II)』(表1)を用いて調査した(県北地区の中学3年151名を対象に昭和61年12月に実施)。これは観点Iの「準備と取り組み(11〜19)」と観点IIの「解決しようとするカの強さ(21〜26)」から成っている。

表1 数学科に対する関心・態度調査用紙
数学の勉強についてどんなふうに感じています
か。自分の感じに近いほうを回答してください。
(11)自分の力で問題が解けたとき,言葉を変えたり数を変えたりして,もう一度解いてみようと思ったことがある。(12)たしたり,ひいたり,かけたり,わったりする計算は好きだ。
(13)三角形や四角形,円などの図形の勉強は好きだ。
(14)方程式など,まだ分からない値を求めるような勉強は好きだ。
(15)宿題やテストがないときでも,数学の勉強をする。
(16)数学の授業が楽しみだ。
(17)数学は好きな教科だ。
(18)数学の勉強は,ほかの教科と比べて,やさしいと思う。
(19)問題の中から,きまりや解き方をみつけるのが得意だ。
(21)問題を解くとき,今までに学んだことをすすんで使おうとしている。
(22)問題を解くとき,まず,似た問題がなかったかどうかを思い浮かべる。
(23)新しい問題に出合ったとき,はじめに,今までと違う方法で解こうとする。
(24)問題を解くとき,自分でなんとか解けそうだと思うことが多い。
(25)解けない問題があると,それが解けるまで気になる方だ。
(26)むずかしい問題でも,ほかの人に聞かないで,自分の力で解こうとする。

結果と考察

男子の場合,成績上位者(注1)が下位者に比べて平均が高かった項目は15個中11個であった。

これらから,上位者は下位者より数学が好きであり,数学の勉強は易しい・得意だと感じており,さらに問題を解くときは何とかして自力で解こうとしているようである。一方,残りの4項目からは,家庭学習における取り組みや問題を解くときの工夫には大差がないようである(図2)。女子

図2 数学科に対する関心・態度/男子の部
の場合も男子の場合と同様な結果であった。ただ女子はおしなべて抵抗なく計算学習に取り組んでいるということが特徴的である。

成績上位者の場合,男子が女子に比べて平均が高かった項目は「数学の勉強はほかの教科と比べてやさしいと思う。」で,低かった項目は「宿題やテストがないときでも数学の勉強をする。」と「問題を解くとき似た問題がなかったかどうかを思い浮かべる。」であった。これらのことから,


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