福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -011/038page

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所員個人研究 _(高校英語)

「個に応じる」英語学習指導

学習指導部   菅野 暁

1.はじめに

 平成元年3月15日発表の新指導要領によると,高等学校に関しての総則第1教育課程編成の一般方針の中で「自ら学ぶ意欲と社会の変化に対応できる能力の育成を図るとともに,基礎的・基本的な内容の指導を徹底し,個性を生かす教育の充実に努めなければならない」,更に第6指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項では「生徒の実態等に応じ,学習内容の習熟の程度に応じた指導など個に応じた指導法の工夫改善に努めること」と述べられている。この「個性を生かす」,「個に応じた」という文言は,高等学校では馴染みの薄い言葉である。が,様々な理由で個に対応する必要性を感じている教師にしてみれば「この程度では・…」と思ったかもしれない。今回の改訂では,「多様な科目選択を可能にする」ことで「個性を生かす」ととらえ,「習熟度別学級編成の工夫」のところで「個に応じた」としているからである。しかし,授業に直接携わる先生方が個に応じる必要性に迫られているのは,他の観点による場合が多い。

2.授業の実態

 4月から9月までの教育センターでの研修(新採用教員研修,経験者研修I,中・高LL)を受講された先生方から提出された資料によると,「指導上困難を感じている」こととして,
・意欲の欠如
・学習習憤の欠如
・英語嫌い
・基礎学力の不足
・指導内容の不適切さ
・学力差
などを上げ,
「中でも一番苦労しているのは,クラス内における学力差である。」としている。そして,「この実態の原因」は
・大部分の授業が,同一内容で,同一速度で,しかも一斉授業の形態で行われているためである。
とし,それを解決するために,ある先生は,
「個人差が大きくなるにつれて,その指導内容や指導法に無理が生じてくるために,学習意欲の低下や学業不振などをも引き起こしている。これらの現状を考えると,画一的な指導法を反省し,個性や能力に応じた学習指導をしていくことが大切である。つまり,それぞれ異なった能力や適性や興味・関心等に慮をしながら指導の在り方や内容を考えなければならない。」
と述べている。

しかし,これと現実とを比較すると,
(「個にどのように対応していますか」の質問に対して)
・授業中の机間巡視を細かく行い対応するように努力しているが,時間的に制約が多く,添削の形を取ることが多い。
・いつでも質問に来れる雰囲気を作る。
・授業中も個人的にアドバイス,励ましてやるように心掛ける。
・赤点保有者に対して長期休業中に補講を行う。
・達成の見込みのある生徒に対して,段階的な問題を出して,その達成について,出来るだけ多くの生徒の前で褒めている。
・授業中に,グループ活動を取り入れて,協力し合って学習する。
・プリント学習を多くする。


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