福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -015/038page

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 ・感情体験を中心に話し合い,自分の日ごろの言動をふりかえり人間関係について考えさせる。結論は強制しない。

3.教育相談におけるロール・プレイングの活用場面

(1)相手の気持ちや相手の立場になって考えさせる場面
(2)自分自身を見つめさせ,自分について気づかせる場面
(3)自分自身が気づかないような矛盾する自分がある場合,気づかせる場面
(4)違った自分を見つめさせ,ヒントを得させ自発性を活発化させる場面
(5)意志を強くさせたり意志表示ができるようにさせる場面

4.教育相談におけるロール・プレイングの活用事例

 事例I《過干渉的な親のかかわりを改善した母親》
。主訴・不登校(中学1年男子)
。趣旨・子供に対して過干渉的な接し方をした場合の子供の気持ちに気づき,親子関係を改善させる。
。主題・過干渉的な接し方をされた時の気持ちについて
。技法・・役割交換法
A:母親・・…子供の役
B:カウンセラー……母親の役
。場面・夕方,学校から帰宅して
A:ただいま一
B:洋服着替えて,さっさと宿題もやってしまいなさいよ!
A:わかったあ…
B:また,ファミコンなんかやっていて!着替えもしないで!!
A:今,やろうと思ってるのに・・…・。
B:いつも言ってるでしょ。やるものやってからにしなさいって!
A:・・
B:もうすぐ期末でしょ!
A:わかってるって!
B:なによ!心配してるから言ってるのに!
A:うるさいな,まったく!…いつもなんだから
B:うるさいとは何よ!


。ふりかえり

 母親は,やろうと思う矢先に指図されると返事もしたくないしやる気もしないなどの,子供の気持ちを味わった。子供をさらによくしたいと思うあまり,指示命令的な干渉をすることになり,結果として,子供の自主性や判断力・実践力の育成を阻害していたことに気づいた。その後,数回のロール・プレイングを重ねることにより,子供への接し方や言葉かけが改善され,望ましい親子関係へと改善されていった。

 子供も閉じ込もり状態から再登校への意欲が見えてきた。

事例II《学級担任(男性)との信頼関係をもてるようになった中学生》
。主訴・集団不適応(中学3年女子)
。趣旨・担任教師の気持ちを知り,教師との信頼関係を改善させる。
。主題・・反抗された場合の担任教師の気持ちについて。技法・・役割交換法
A:本人……学級担任(男性)の役
B:カウンセラー……本人の役
。場面・・授業時間,教室で
A:課題について調べてきたか?調べてこない人は?手を挙げて!
B:(だれも挙手なし)
A:それでは,誰を指してもいいわけだね。B子さん!
B:・・・



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