福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -021/038page

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プロジェクト研究報告

学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究


_自己啓発を促す校内研修のあり方・すすめ方_
(その3)

学 校 経 営 部

1.はじめに

 前回は,県下の主題研究推進上,現状において最も改善充実が必要と思われる11の問題点と課題を「調査研究結果」から述べてみました。当学校経営部では,それらの改善策として「試案」を作成しましたが,今回はその中から「計画時における研修課題の集約一研究主題の設定一研修組織づくり」について解説してみたいと思います。

2.校内研修計画時における試案内容

 各校において主題研究を進める際には,ア.自校の研修課題を明らかにする。イ.それを生かして研究主題をつくる。ウ.研修組織分担をする。これが一般的と思われますが,自校課題と先生方の二一ズの問題,研修課題と研究主題との関連,研修組織づくりにおける校務分掌と先生方の希望との問題,この点はどう配慮しているでしょうか。試案ではこの点をどうしたらよいかに視点をあて作成してみました。くわしくは先に各校に配布した「昭和63年度研究紀要試案1〜3」をご検討いただきたいと思いますが,ここではその中から,具体策としての手順内容のみを上げてみます。

<研修課題の集約>

 1.児童生徒が自分たちの学年学級目標からみた問題点をカードに書き提出する。2.それを集約しまとめる。3.教師側からみた児童生徒の課題を出し合いまとめる。4.教師個々人の指導上の反省,課題を出し合いまとめる。5.教師個々人が自校で必要と考える課題を出し合いまとめる。6.上記内容を資料にして全員協議検討会を持ち,自校の研修課題を明確にする。(数は限定しない) <研究主題の設定>

 1.上記の研修課題を必要性,重要性から再検討する。2.児童生徒・教師の二一ズや研修課題の順序性を考えて限定する。3.限定された研修課題の到達点や研修内容・方法等を検討するとともに,共同研究テー了としての表現を考える。4.研究主題の推進計画や達成状況等を想定して全職員の共通理解を図りながら研究主題を設定する。

<研修組織づくり>

 1.全職員から前年までの組織内容や編成のしかたについての反省をとり集約する。2.その反省を生かすとともに,主題到達に必要な係は何かを明確にした組織図をつくる。3.教師個々人の希望係を聞く。4.個人の希望を生かすとともに,校務分掌や能力適性など考慮し,原案をつくり提示する。5.提示した係配当に対して問題点があれば再検討する。6.全体研究協議会等で吟味し決定する。…(ここでは紙面の都合でどんな方法で,どんなことに配慮してすすめるかについては述べられませんでした。試案内容をご覧いただきたいと思います。

3.まとめに

 これらの試案は,各校の先生方が研究推進される中で,自分たちの研究であるという意識と研修意欲をさらに促すあり方・すすめ方は,どんな内容・手順・方法が考えられるかをまとめてみたものです。「研修課題の明確化」は,共通主題による共同研究の基礎となるものであり,それを生かした「研究主題の設定」は,先生方の自己啓発を促す基本となるものと考えられます。また,「修組織づくり」において,先生方一人ひとりの希望や特性を配慮して決定することは,協働態勢づくりに直接結びつく大切な要件です。時間がかかっても,研究推進の出発時においては,上記の点を大事にして共通理解を図っていく,そうした努力の中に先生方の自己啓発は促されるものと考えるのです。 次回は「実施段階における試案内容」 について説明します。        (文責三津間安宏)


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