福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -022/038page
プロジェクト研究報告
基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究
(その3)小学校社会科の実践から
学習指導部
1.はじめに研究主題をうけて,社会科では次のような教科仮説を設定して実践研究に取り組んだ。
社会科学習指導において,児童一人一人の持っている「よさ」を把握し・学習内容とのかかわりから、児里の興味・関心,学習の仕方,行動特性,表現特性それぞれに応じた授業の在り方を工夫すれば,基礎的・基本的な内容を身につけさせることができるとともに一人一の「よさ」を生かし,伸ばすことができるであろう。
本稿では,児童の持つ「よさ」をとらえる一つの窓である学習の仕方の違いに着目して,学習過程を複線化した試みについて述べることにする。
2.学習過程の複線化追究過程で表れる児童の学習の仕方の違いの傾向性に着目し,いくつかの単元を通した調査をに,縁繹的な学習の仕方を得意とするグループと帰納的な学習の仕方を得意とするグループに分け,それぞれの特性に応じた追究過程をとらせることにした。
具体的には,演繹的なグループに対しては,課題に対しての自分たちの予想を練らせることにより,観察・調査活動をできるだけ焦点化させ,より深く追究できるような学習過程を意図的に組織した。また,帰納的なグループに対しては,課題に対しての観察・調査活動を先行させ,できるだけ多くの情報を収集させ,そこから事実・事象の関係を広くとらえさせるようにした。
3.学習の仕方の違いに応じた追究活動の実際川俣南小第3学年の児童を対象に「人びとのくらしと商店がい」を検証単元として取り上げ,授業実践を行った。
授業を進めるうえで,演繹,帰納の各グループ毎に行う学習に対応できるようT-丁方式を取り入れた。以下,児童の追究活動の実際について記す。
4.おわりに児童一人一人の学習の仕方の違いに着目し,学習過程を複線化したことにより,児童は生き生きと学習に取り組み,「よさ」を発揮した学習を展開していくことができたように思われる。
(文責関博之)