福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -028/038page

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研修者研究報告 一(教育研究法講座)

PERT手法によるネットワーク図作成に生活体験をとり入れ
教科「土木施工」の内容の理解・定着を図る工夫

平工業高等学校教諭   齋藤利夫
(前喜多方工業高等学校)

1.研究の趣旨

(1)研究の動機とねらい
 工業高校土木科の生徒にとってPERT手法によるネットワーク図の作成は,卒業後の職務を遂行するための専門上の実用的技術である。一連の作業を具体化する上で生徒にとって困難なことは,慣れない新しい用語と未経験な分野を扱うため,どうしてもなじめないことである。そこで,生徒たちに専門用語を正確に理解させながら,全体を把握する能力を養うとともに,それらを統合整理できる学習能力を高めるための方途を探るため本主題を設定した。

(2)問題点
  1. 土木建設の内容を全く知らない生徒が多いため,用語に習熟するのが大きな負担である。
  2. 内容が複雑なためPERT手法によるネットワーク図作成は,基礎学力の欠如とあいまって,理解できない点が多い。


(資料1)現在の土木科1・2・3年生の基礎学力調査より
(資料1)現在の土木科1・2・3年生の基礎学力調査より

(3)原因
  1.生徒側
   ア.入学した動機があいまいなため,目的意識が希薄で学習意欲が乏しい。
   イ.家庭学習や自主的学習が習憤化されていないため,予習や復習をしない。
   ウ.教科内容と生活体験との隔たりが大きいため,学習に興味を示さない。
  2.教師側
   ア.生徒の興味関心をそそるような教材研究が足りなかった。
   イ.生徒の実態に即した教材テーマのあり方にも問題があり,生徒の感情とかみあわなかった。


(資料2)昨年の土木科3年生の意識調査より
(資料2)昨年の土木科3年生の意識調査より
2.仮設

(1)仮説のための理論
  1.土木の実践的作業現場など,生徒にとって未経験の分野での作業の手だてを理解するために,生徒の身近な生活体験の中から選んだ模擬的教材での学習を通して,作業の手法や基礎的知識を修得させ,それを発展させることによって,未経験分野の理解を容易にする。
  2.模擬的ネットワーク図の作成演習に習熟し,現場見学等も取り入れて,体験に近い理解を得るならば,知識の定着化や応用力への発展が期待できる。また専門分野の基礎学力の習得が図られる。以上の想定の結果次の仮説を設定した。



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