福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -031/038page

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■アイデイア紹介■

見て解り易い効果的な自作教材一理科(生物)


_脊髄反射経路の表示モデル−

福島県立安積高等学校教諭   柴崎 茂

1.製作動機

 生徒を巻き込んだ活気ある展開にしたい。50分が短かく感じられるような授業のなかみにしたい−心がけとしてはいつも,そう念じて授業にのぞむ。しかし現実は,思いどおりにはゆかず,製作した「脊髄反射経路の表示モデル」も,理想とは逆に,授業のけだるさを何とかしなければ,という,負の動機に基づく教材であった。

 「脚気(かっけ)の検査」として生徒たちに知られている腱反射の原理は,中学校から登場する基本的な学習事項である。しかし黒板に描く静止した絵と,各部分の名称の説明だけでは,とうてい生命現象のダイナミックな姿を伝え得ない。その苛立たしさを内に感じ,一層ヒステリックに声を振り上げるたびに,生徒たちの顔は,義務的な能面に変わってゆく・・・・・・。

 反射の経路に沿って次々に神経の興奮部が移動し,脊髄でUターンして再び脚部に戻り,足先をピクンと持ち上げさせる,あの躍動感をうまく表現した楽しいモデルはできぬものか,複雑なメカが,あらたなブラックボックスを生み出さぬよう原理は単純で,だれが見てもわかるものが望まし

い。

 ならべた電球が順々に点灯してゆくと,なにかが動いているように見える街の広告塔がある。あの方法が動きの表現に使えるのではないか。電球を連続的に点灯させてゆくスイッチには,斜面をころがる金属球を使ってはどうか。そんな考えをまとめ,試作したのは,10年も前のことである。

2.生徒たちの反応

 高校生には幼稚すぎるだろう。ばかにして笑うかもしれぬ。ためらい迷いつつ,試作した。やってみるといくつかの改良が必要であったが,基本的な原理は,おおむね最初の案のとおりにした。心配をよそに試運転の結果,生徒たちからは予想外に面白がられた。大きな体の高校生が,豆ランプの点灯を順々に追い,最後にモデルの足先がピョンと上がると「オー」と歓声をあげる。少なくとも,以前の,あの無気力な能面を消す効果は果たせると知ってひと安心した。

3.原理とメカニズム

 (1)市販のアルミアングルを2本,平行に配置し,一方のアルミアングルは,2.5p程に切断し,電気的に独立させて固定する。この2本のレール上に金属球を乗せると,球は少し傾斜させてあるレール上をころがり落ちる(図1)


【図1】金属球の移動と運動原理


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