福島県教育センター所報ふくしま No.93(H01/1989.11) -032/038page
(2) 2本のアルミアングルのレールは断面図でみると図2のように配線してあるため,金属球が導体として働き,球の乗っている場所の回路だけが通電され,パイロットランプが点灯する。
(3) このようにして60個程の独立したレールを球が通りぬけ,それに対応して60個程のランプが順々に点灯してゆく。
(4) 豆ランプは,感覚神経→反射中枢→)運動神経に沿って順々に埋め込んであるため,興奮の伝わる順序に点灯してゆき,興奮部が移動してゆくように見える。
(5) 最後に,金属球がアルミレールの末端から落下し,その球を受け皿が受けとめると,球の重さと落ちる勢いで受け皿が下がり,テコの原理で,可動部のひざ下が,ピョンと跳ね上がるしくみになっている(図1右端)
4.製作上の工夫点(1) 腱反射の開始は,通常,ひざ下の定位置を軽く打つことによって誤信号が誘発されるために起こる。従って,このモデルにおいても,最初の金属球の打ち出しは,モデルのひざの部分を木槌で打つことによって,球がころがり始めるようにしてある。
(2) 2つの神経が連接している部分(シナプス)では,化学伝達物質が媒体となって連絡し合うという方法のため,伝導が一瞬おそくなる。その点もランプの点灯の間隔で表現できるようレールの長さと配線に工夫をした。
(3) 豆ランプの配置は密なほど,興奮の伝わりがなめらかに表示できるが,工作上の苦労もあり,60個程にした。使っている豆ランプは60個でも,点灯する豆ランプは常に1個なので電源は乾電池2個のみをセットすればよい。(図2)
(4) アルミのレールや電池は,すべて裏面に配置し,表面には腱反射の経路と脚部の絵を描いた。又,豆ランプは,神経の経路に沿って開けた穴に,裏側から埋め込んだ。さらに教室の教卓上で演示する時,持ち運ぶための取っ手と立てるための足をつけた。(写真)
5.応用特別な配慮が必要なことは何もないが,腱反射の学習の中の単調になりやすい部分に,演示実験として挿入するのが最も効果的と思われる。
ただし,見て笑って終りにならぬよう,各部の名称や伝導の経路を,モデルで復習させる。男子の生徒の場合は,特に裏側がどうなっているのか知りたがる。その好奇心も,広い意味での理科の学習であると解して,裏側を生徒の方に示して,球のころがってゆくようすを見せることにしている。原理が単純なので生徒はすぐ納得し「そうなってるのか!」と安心する。