福島県教育センター所報ふくしま No.94(H02/1990.2) -007/038page
数が20人を越えるときには,課題別に2〜3の分科会として進めることが考えられる。
6.校内研修組織についての提言 (1)研修と研究とを混同しないために提言の第1 は,校内研修組織を学校経営の中核に位置づけ,研修の日常化を推進するということである。
北海道立教育研究所研究紀要第114号1989・3,「校内研修体制の組織化」を参考にして図示すると次のようになる。
これは,学校運営組織と研修組織の一体化であり,日々の授業や教育活動そのものが研修となるものである。つまり,学校運営組織を機能的側面からとらえ,研修経営機能の強化を図るものである。
この提言は,日常的な校務分掌による教職員相互の援助指導の体制を維持し,教育課程の改善に集約されるような実践的研修や研究の累積が図られる組織を構想してのことである。
(2)研修組織の固定化の弊害をなくすために 提言の第2 は,自校の学校課題や研究主題に対応できる研修組織にするということである。例えば,「学校図書館の利用を促進し,進んで読書する子の育成」を研究主題としているのであれば,次のような研究組織が参考になる。(会津教育事務所管内K小学校)
多くの学校で,「調査資料班,授業研究班,理論研究・企画推進班」といった研究組織が見られる。研究の受け皿としての組織が万年 不変というのは問題であろう。
自校の課題や研究目標達成からみて,必要な係は何かという視点からの組織づくりを大切にしたい。研修組織は,追究するテーマや学校課題に連動して作られるべきなのである。
(3)個人の希望や特性等を生かすために 提言の第3 は,新たな課題が生じたときに,臨機応変に貝己研修の成果を生かし合える組織編成を心がけたいということである。一般に,組織編成時には,リーダー性,能力・適性,経験,希望,仕事量等を考慮する。しかし,これらは,研修課題が変われば,いずれも,個々人毎に変化するものである。とすれば,研修課題に応じて,柔軟な組織の再編をすすめ企業にみられるような「プロジェクトチーム」の研修組織がその都度,展開されることが望ましいと考える。
例えば,ある地区のF小学校では2学期になって「教師としての心構え」が初任者研修部の新たな課題となって浮かびあがったとき,組織の再編をしている。この時のリーダーを50代後半のM教員にお願いしたところ,きめこまかな指導で研修活動が成功したばかりでなく,M教員の学級までが見違えるほど生き生きとしてきたということである。
(4)自己関与意識を高めるために 提言の第4 は,全体研修における個々人の役割・分担等に裏付けられた組織づくりをするということである。そのためには,分担領域内での「自己計画」(個々人がどの内容に,いつ,どのように関わるかについてまとめた自分なりの研修推進計画)を明らかにしておきたい。分担内容が割り当たったまま研修のスタートをすると「させられている」意識が残り,自己啓発に立った研修から遠ざかってしまうからである。
以上,「組織」を中心に述べたが,もともと,組織と運営は表裏一体のものである。望ましい運営をめざすことをふまえたうえでの提言であることを附記しておきたい。(1990.1.4)