福島県教育センター所報ふくしま No.94(H02/1990.2) -011/038page
所員個人研究 一(中学校技術・家庭)
4ビットマイコンに関するシミュレーションプログラムの開発
科学技術教育部 八 巻 茂 雄
1.はじめに平成元年3月,新学習指導要領が告示され,中学校では平成5年度から実施されることになった。この学習指導要領の改訂により,情報化社会へ対応して技術・家庭科に新たに「情報基礎」の領域が設けられた。この情報基礎の目標は,「コンピュータの操作等を通して,その役割と機能について理解させ,情報を適切に活用する基礎的な能力を養うこと」である。
その内容の中に,コンピュータの仕組みについて,入力,演算,制御,記憶及び出力を扱う等コンピュータの基本的な構成と各部の機能を指導することが上げられている。コンピュータそのものに関して指導することに加え,コンピュータによる制御まで発展させた内容の学習であってもよいとしている。多様な生徒に対応するためにも,技術・家庭科担当教員として教材の選択と指導方法の研究をしなければならなくなってきている。そこで,今回情報基礎でコンピュータの仕組みについて指導される先生方の自主研修に役に立てばと考え,命令コードを入力することにより4ビットマイコンを動作の確認できるようなシミュレーションプログラム(シミュレータ)の作成を試みた。
2.4ビットマイコンとした理由コンピュータの機種は1回の処理で取り扱う情報量により,4ビット,8ビット,16ビットおよび32ビット等に区別できる。一般論としてビット数の大きいコンピュータほど処理能力は高く,優れているといえる。現在,パソコンやワープロ等には8ビットあるいは16ビットが多く使われており,近い将来は32ビットが主流になるといわれている。他方,4ビットマイコンのほとんどは特殊な電子機械にのみ使用されているだけである。し かし,どれもコンピュータとしての基本構成は同じといってもよく,図1のような機能を持っている。
このような状況の中で,4ビットマイコン(MP1312)を教材に選んだ。その理由として次の点があげられる。1.扱う数値が小さい。2.命令が少なく簡単である。3.使用するメモリが少なく,管理が容易である。4.図1の機能がすべて1つのLSIに集積されたワンチップマイコンであり,取扱いが簡単である。5.このLSI(MP1312)内部にもROMがあり,モニタープログラム等が書き込めるため,初心者にもある程度の応用プログラムが作れる。さらに,6.情報処理教育担当教員等養成講座(基礎コース)中学校部会(文部省主催)の研修にも取り上げられている。
3.シミュレーションの有効性一般にシミュレーションは,1.実物がない場合,2.実在しても経済性を考慮し,確実なものかを確認したい。物理的,時間的に体験することが不可能である場合,または通常は発生しないことが起こったと仮定して3.その影響を予測または体験あるいは訓練する等に役立つ。さらに,シミュレーションをするためにパソコンを使うと,グラフィック表示ができ,特に手軽に行えるという利点がある。
コンピュータの仕組みを理解するにも,処理速