福島県教育センター所報ふくしま No.94(H02/1990.2) -014/038page
生徒指導・教育相談実践講座あなたもカウンセラ一
一集団の理解と指導一教育相談部 斎藤 洋一・畠腹 桂子・玉川 邦夫
本号では,「集団の理解と指導」についての一つの方法として,学年主任,学級担任,教科担任等が互いに連携し合って進めた事例を紹介します。
第91号 集団で規則を破る中学生
第92号 腹痛を理由に休みがちになってきた中一男子
第93号 家族カウンセリングを必要とする児童生徒
第94号 授業離脱を繰り返す男子中学生
1 事の起こり 授業離脱を繰り返す男子中学生
2学期の中間テストの成積の処理も終わったころ,学級の3人の問題行動について教科担任から学級担任に報告があった。
この生徒たちは,夏休み明けから,A男,B男,C男が連れだって授業中に教室を出ていくことを繰り返した。英語の女性教師は「教室から出ていくのを止めることができず,どう言ったらいいか困ってしまった」また,理科の若い教師は「初めてのことでおどおどしてしまった」ということだった。その後,担任はこの3人に厳しく指導したが改善がみられなかった。
そこで,学級担任だけでは解決できないと判断し,生徒へのかかわり方等について学年主任に相談した。学年主任は学年全体で共通理解に立ち,すぐに対応を考えていくことにした。
2 学年会で共通理解を問題行動をとらえるためには,
。それぞれの生徒について,問題の原因は何か。
。3人の生徒に,共通した問題は何か。
などを知る必要がある。そのために,学業,性格,行動,友人関係や,生育歴,親の養育態度等を理解したり,科学的方法による分析も考えた。さっそく,次の3つの資料を担任から提出してもらった。・学級の実態
2年になって学級編成され,学級担任(社会科担当)も2年から担当。
学級の雰囲気は,男女とも小グループに分かれることが多く,男子や女子の対立も見られ,学級としてのまとまりに欠ける。
・問題の概要
授業離脱や遅刻が,特に,若い教師や女性教師の担当する授業で見られる。清掃をしない,女生徒をひやかしたりするなどの行動を共にする。
・A男,B男,C男について(下表)
知能偏差値・学力 性格行動の特徴 家庭環境 部活動 A男 60 中位 3人のグループのリーダー、
言葉使い乱暴、なげやり、
自己顕示欲強い母親、本人、弟との3人
母子家庭バレー部に所属、社
会が得意B男 45 下位 おとなしい
自己中心的両親、本人の3人家族
母親は本人を連れて再婚
母親は社交的美術部に所属
絵をかくのが得意C男 40 下位 付和雷同的 祖母、両親、姉、本人の5人家族
両親共働き、おばあちゃん子バスケットボール部
に所属、体育が得意