福島県教育センター所報ふくしま No.94(H02/1990.2) -015/038page
・個別面接分担
学年主任は,3人の面接を学級担任を中心に,常日頃,この生徒たちと人間関係がより図られている教師に面接相談の協力を依頼した。
A男:社会科が好きで,3人のリーダー的存在なので社会科担当の学級担任が面接。
B男:美術が好きで,好意を寄せられている美術の教師が面接。
C男:体育が得意で,面接を申し出たので体育の教師が面接。・面接相談内容報告
【A男についての報告】:母親は仕事に追われて,子どもの面倒を見る機会が少ないので寂しい思いをしている。主観的になりやすい。
この3人のリーダー格のA男は,1年の時には成績がよかったが,下降気味になり焦っている。学級がおもしろくないと思っている。
4 学年会で対応を
【B男についての報告】:おとなしく内向的で友人が少ない。思うように勉強ができずやる気が起きないでいる。
【C男についての報告】:気分屋で調子に乗りやすく,友人から好かれていないことを気にしている。依頼心が強い。母親からの一方的な指図を嫌っている。資料や面接から3人に共通するのは,次のようなことであった。
(1)学業がふるわない。
(2)学級での存在感が持てない。
(3)家庭では話合いが少なく,温かい人間関係が満たされないため常に情緒が不安定である。
学年会では次のことを話し合った。
(1)について
・学業不振の生徒
一般的に基礎的な学力が劣る生徒や,自主的な学習態度が身についてない生徒は,適応上の障害を起こし,学校生活になかなか対応できない。
学業不振の生徒は,将来への見通しを暗くし学校生活から逃避,せつな的,享楽的になりやすい。他の生活の場にも波及することが考えられる。
具体的には次のような対応を考え,実施することにした。
1.授業を通して,教師と生徒との信頼関係を高めること。学習不適応をなくすよう個々の生徒へのかかわりを配慮した,安心感が得られる授業をすること。
2.感情的な指導,独善的な受け取り方や判断をせず,生徒の不満を聴くこと。そして,教師も謙虚に受けとめ,共に考える態度を示すこと。
3.教師は,しかるべき時は真剣にしかり,諭すべき時は諭すこと。
4.2年生であることをふまえ,将来の見通しをもたせ,進路希望にそった指導援助をすること。
(2)について3人グループに対して効果的な指導援助を進めるためには,集団の形成についての理解を深めなければならない。
・集団とは
集団を大きくとらえると次のようになる。
1.自然発生集団(インフォーマル)
メンバー自身が心寄せ合い,支え合って形成される集団。サークル活動,遊び仲間等
2.人為的集団(フォーマル)
目的を持ち,社会的に明確な集団,学級,学習グループ等
ここに上げたA男たちのグループは1.に属する自然発生集団といえる。3人は学級内での存在感