福島県教育センター所報ふくしま No.94(H02/1990.2) -018/038page
プロジェクト研究報告学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究
−自己啓発を促す校内研修のあり方・すすめ方一
(その4)学校経営部
1. はじめに今回は「試案内容の解説2」として,校内研修実施の段階から「授業研究のあり方・すすめ方」,を中心に,効果をあげる必要条件「研究を推進するリーダーのあり方・すすめ方」について述べてみたいと思います。
2.研修意欲を高め、授業の賃的改善を図る授業研究のあり方・すすめ方各校においての研究推進は授業研究が中心のようです。では現状よりもさらに日常の指導と直結し,各自の授業の質的向上の役に立っ授業研究はどうあったらよいのでしょうか。考えられる手順内容・方法を試案としてまとめてみました。(昭和63年度紀要14〜16ぺ一ジ参照)。ここで最もポイントとしておさえたことは,ア.今回の授業研究は何のためにするのか,そのねらいの明確化と授業研究テーマの共通理解。イ.今回の授業研究のねらいにかかわる実態・問題点の把握と解決・改善策(本時授業仮説)の共有化。ウ.参加者全員による検証指導案の作成と準備。工.検証授業としての本時の実施と検証計画による授業観察,記録の収集。オ.授業仮説の効果の検討会としての事後研究会の実施と成果の活用のしかた・改善案の策定。カ.次回の授業研究会への見通しと準備の具体化等の手順をふんだ実施ということでした。実際にはどうなるか,その具体内容と配慮事項を例示してみました。ここでお願いしたいことは,この試案を現在自校で実施している「授業研究のすすめ方」と比較検討し実際に使用してみてほしいということです。なぜなら,先の調査研究結果から,現状の問題点として「授業研究がマンネリ化し,全体の研修意欲が低調である一改善充実するには,授業研究内容が共有化できる授業研究のすすめ方はどうしたらよいのか」が浮かび 上がったからです。その改善策としての試案だからです。現在,より現場的に修正するため研究協力校での実践をお願いしましたが,各校からのご意見もお待ちしております。とにかく,授業研究を実施するなら,時間はかかっても,授業研究のねらいや本時授業仮説を明確にして,事前研究〜本時研究〜事後研究を積み重ねていってこそ所期の目的が達せられる授業研究になるものと考えるのです。
3.協働意欲を高めるリーダーの援助指導のあり方・すすめ方試案内容には,ア.まずリーダーは自校の協働意欲に関しての実態を調査等でつかむこと。イ.次に成員である先生方個々人と対話し,現状を具体的に把握すること。ウ.前記内容に基づきどう先生方とかかわるか方針を立ててみること。工.研修会の事前においての援助指導の内容・方法を具体化して積極的にかかわること。オ.研修会当日は事前に援助指導内容を準備して研究同人としてかかわること。カ.研修会事後においての援助指導を具体化し次回の研修会につないでいくこと。
〜これらに対してどうあったらよいか,内容・方法・配慮事項がまとめられております。そのまま活用できるよう具体的にまとめてみました。たしかに,校内研修の充実には先生方の組織成員としての自覚が必要条件ですが,リーダーによって自覚を促され,具体的に援助指導され,認められ励まされる中で自己啓発され,自分から進んで研修(研究)を深めていく場合が多いものです。フォーマル・インフォーマルな場を意図的に設定し,試案に示したような援助指導をくりかえし続ける中で,先生方個々人の自己啓発も,自校全体の協働意欲(モラール)も高まっていくものと考えるのです。
(文責三津問安宏)