福島県教育センター所報ふくしま No.94(H02/1990.2) -029/038page
コンセントの端子(活性側)に触れて徐々に電圧を上昇させていくと感電する。
(注)これはかなり強力な感電になるので電圧の上昇は慎重にする。
このようなやりとりをしながら授業を進めていく。生徒は体験が生々しいので,特に,興味を持って取り組んだ。コンセントの差し込み口の穴の長さが違うことなど日常使用していても気付かない事を発見したりして驚いていた。本時のねらいである感電事故防止事項や接地の必要性など対策には力を注いだ。人為的に感電を体験させるなど問題があるし,軽く扱う題材であると思うが,電気機器を多く使用している現在,正しい電気知識を与え,感電事故防止に留意させたい。以上のほかに,絶縁不良にした漏電する電気機器により漏電ブレーカの作動実験を取り入れ,接地のしかたなど事故防止のための指導に力を注いだ。
3. てこクランク、平行クランクを用いた厚祇によるワイパーの製作
機械 I のリンク装置の学習で,我々の身のまわりで応用されている代表的な物といえば自動車のワイパーであろう。他校でリンク装置の授業公開のおり,実物のワイパーをバッテリーによって作動させ提示に工夫をこらしていた。これを生徒と一緒に厚紙で作っていくことにより,より効果的な学習ができるのではないかと思い製作したのが次の教材である。
材料: 厚紙を3p位の幅に切ったリンク。
: 画鋲(節に利用)
: 製図板(授業では作業台を使用)
○ 授業中の問答の一コマ
教師: 厚紙でワイパーを作ってみよう。ワイパーはどんな動きをしているか。
生徒: 揺動運動をしている。
教師: 何で動かしているのだろうか。
生徒: モーターで動かしている。
教師: モーターはどんな運動をしているか。
生徒: 回転運動をしている。
教師: モーターは回転運動をしているのにワイパーはなぜ揺動運動をするのか。
生徒: てこクランク運動をしているから。
このようなやりとりをしながら,リンクの長さを挟で調節しながらワイパーをつくっていく。
クランク,てこ,連接棒の長さを変えていくことにより,動きを調べさせ,それらの関係を把握させることができた。またリンク装置は実際に作動させてみないと分からないところがあるので,班ごとに厚紙を与え,4節リンク機構の応用的なものを作らせ動きを観察させた。スライダクランク機構,ひよこの模型,いろいろなカム装置など木材で自作教材をつくり,動かして見せることにより,視覚に訴え,分かる授業づくりに努めた。生徒は動きに非常に興味を持ち意欲的に取り組んだ。
4. おわりにその他の工夫としては,次の通りである。
(1)製図の指導で,クリアシートに教師が製図し生徒が自分の製図と重ね合わせることにより生徒自からまちがいをチェックできるようにしたこと。(同一題材の時)
(2)板金加工の「丈夫な構造を工夫しよう」で教材として缶げたを使用して丈夫に工夫しているところを見つけさせたことなど,実践的,体験的な分かる授業のための教材の提示に努めている。
常日頃,電気工事士,大工,板金屋,菊の愛好家,整備士,接着剤会社などからの情報の収集に努め,より効果的な教材教具の提示や生きた知識,技能の提供に努めている。