福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -009/038page
しまうといったことがある。
更に、6年生であってもできるだけ実物大の大きさのものを提示することである。
例えば、1 、1 =1000 、1 の大きさの模型を教室に入れて授業を進めると単位の違いはどれだけの違いになるのかを実感できる。授業終了後も廊下などに2週問ぐらい掲示しておくとさらに量感がつく。この単元の文章題は、他の単元(特に、面積や体積)の学習内容が理解できていないと解くことができない。いろいろな単元とかかわるのでどの単元も学習内容をしっかり定着させておかなければならない。
(4) 「量と測定」の領域のねらいから指導書には、「この領域の主なねらいは、児童の生活に関係の深い様々な量について、その概念及び測定の原理と方法について理解できるようにするとともに、測定についての能力を伸ばすことにある。その際、量についての豊かな感覚を育てることが大切である。」と書かれている。
毎日の算数の授業においてこの「量についての豊かな感覚を育てること」が、おろそかになりがちではないだろうか。黒板とチョークだけの授業でなく、児童に1uならぱ1uを実際にかかせたり、新聞紙で作らせたりして肌で感じさせることが大切になる。更に、その単元の授業の時だけでなく、毎日の学校生活の中でできるだけ学習した内容を使わせることも大切になる。算数が授業だけでなく毎日の日常生活と深くかかわっていることにも気づかせたい。
例えば、5年生でさえ1 入りの牛乳パックやジュースのボトルと1リットルますが同じ量になることに驚きを示す。また、教室の中で実測できない1kmを児童は、どのようにイメージしているのだろうか。1kmを初めて学習するのは、3年生である。1km=1000mと教えこんだだけでは、量感は育たない。学校を起点として、実際1q歩いてみるとか、学校と自宅の道のりで学校からどのへんまでが、1kmなのか知ることによって1kmと1mの大きな違いを感じとらせることができるであろう。
3. おわりに
「計算力と思考力の関係」について
昭和62年度の児童(第5学年)に、昭和58年度の「円と正多角形」の問題を電卓を用いてテストしてみた。「量と測定」の領域にかかわる問題の正答率は、昭和58年度50.3%昭和62年度62.3%となった。正答率の低い問題は、どちらも同じ問題であった。計算力がないからできないとよくいわれるが、仮に計算力が十分ついているとしてもその伸びは、多く期待できるものではない。計算力をつけるだけでなく、思考力を伸ばすことが大切になる。
そのことは、電卓を用いてテストを受けた児童自身が一番よく感じている。ある児童の感想には、「電卓は,計算の手助けになってくれるが、考え方の手助けにはなってくれない。だから、考える問題なんかには、役にたたない。テストをしてそれをしみじみ感じた。」とあった。
以上のことからもこの領域では、具体的な操作活動が特に大切になってくる。