福島県教育センター所報ふくしま No.98(H03/1991.2) -015/038page
プロジェクト研究報告
個を生かす学年・学級経営に関する研究
―第1年次―
学校経営部
学年・学級は児童・生徒の学習や生活の基盤であり、主体性や社会性の育成の場でもあり、個の伸長を図る場でもある。また、学年・学級の集団の中では一人一人が集団の一員として認められ、尊重される中で個が生きることが大事である。
以上のような「個」の重視の原則に立って、児童生徒一人一人の個が生きる学年・学級経営の充実策を追究するものである。
第1年次の本年度はそのための理論研究と実態調査を行う。
各学校においては「個を認め、個に応じ、個を伸ばし、個を生かす」ため、それぞれ、学年・学級経営の改善充実を目指して、鋭意努力し実践がなされているところである。
しかし、現実には必ずしも「個」が十分に生かされているとは言い難いようだ。
これらの現状を踏まえたうえでの個を生かす学年・学級経営を進めるための視点として下記事項を設定して研究を進める。
1.個の存在を認め、個の存在を大切にする方法・内容を明確にすること。2.個の特性をとらえ、生かす方法・内容を明確にすること。3.認知面に偏ることなく、情意的側面との調和を考えた実践活動のあり方を探ること。4.個性豊かな生き方のための基礎的基本的事項の習得を重視する内容・方法を探ること。
基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究
―第4年次―
学習指導部
本研究は、学習指導の改善の視点から、個性重視の原則に立ち基礎的・基本的な内容を身につけさせる過程を通して、更にそれを基盤としながら一人一人の個性を生かし、伸ばす学習指導の在り方を追究しようとするものである。
第1年次の理論研究と実態調査、第2年次、第3年次の教科による実践研究を基に、第4年次の平成2年度は、実践研究の範囲を道徳及び特別活動にも広げ、小学校算数科、小学校道徳で実践を行った。
算数科では第4学年の児童を対象とし、「角の大きさ」「小数」の単元で実践した。単元全体の学習内容を盛り込んだ課題の設定、課題への再挑戦、発展学習の場としての自作練習問題作成・相互解決、達成度や学習速度に応じたコース別学習等が、基礎的・基本的内容を定着させ、児童の「よさ」を育てるうえで役立った。
道徳では第5学年の児童を対象とし、2時間扱いの授業を含め4主題について実践した。先行オーガナイザー法による状況の構造的把握、多様な価値観にふれるための児童自身が活用する座席表の活用と意見交流、磁石氏名板を利用した推薦指名等が、より深く「自分らしさ(その子らしさ)」を見つめる契機となるとともに価値の内面的自覚をしていく上で役立った。